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安全弁 高温劣化か・・福島第1 2号機 事故時 圧力下がらず

 東京電力は12月17日、2011年3月の福島第1原発事故発生時、2号機で、原子炉圧力が異常に上昇したときに圧力容器内から蒸気を逃がす「主蒸気逃がし安全弁」が正常に機能しなかった原因として、長時間の高温環境で部品が劣化した可能性が新たに判明したと発表しました。圧力が下がらなかったことで原子炉への注水作業が遅れて、事故を深刻化させた疑いがあります。

 逃がし安全弁の作動には、タンクから供給される窒素ガスの圧力でピストンを押し上げることが必要です。今回、東電の調査・検討から、窒素ガスを密閉するためのシリコンゴム製の部品が劣化し、窒素ガスが漏えいしていた可能性が明らかになりました。171度の高温環境に耐えられるように設計されていたものの、短時間の作動しか想定していなかったといいます。

 2号機では、事故発生4日後の15日未明、原子炉圧力の上昇にともない、逃がし安全弁8台を順次操作。しかし原子炉圧力が低下しない状況が約1時間続き、その原因は未解明でした。これまで東電は、原子炉圧力が下がらなかったのは、逃し安全弁の排気量を上回る量のガス発生の可能性をあげていました。

 調査内容を発表した会見で、東電の川村慎一原子力設備管理部長は「シリコンゴムが、高温の蒸気環境に長期間さらされると劣化することまで、十分に検討して選ばれた材料ではなかったのが反省点だ」と事故対策の想定の甘さを認めました。

 東電は、部品を別の材料に変えることで、柏崎刈羽原発の再稼働を狙う構えです。

(「しんぶん赤旗」20151218日より転載)