
晴男 経済産業省が、最長60年だった原発の運転期間をさらに延長できる審査基準を示したね。
秋平 2023年に改定された電気事業法が6月に施行されるために、策定するそうだ。
晴男 そういえば思い出したよ。東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえて改定された原子炉等規制法(炉規法)で、原発の運転期間は「原則40年」とされ、原子力規制委員会が認可すれば1回に限って最長20年の延長ができるとしていたよね。
電力会社が要求
秋平 「原発の最大限活用」を掲げた岸田文雄政権時のことだ。運転期間の規定を原発推進の経産省所管の電気事業法に移したんだよ。その際、規制委による審査などで停止した期間を延長期間に上乗せすることを認めて、運転開始から60年以降も運転ができるようにした。財界や電力会社が求めていたものだ。
晴男 老朽原発をさらに酷使することになるじゃないか。
秋平 まったくだ。事故の危険性が増える。老朽原発の原子炉圧力容器は中性子をあび続けたことで、もろくなるし、機器や配管などは時間の経過とともに腐食や疲労で劣化する。ケーブル類は停止していても劣化するんだ。運転期間に上限を設けたのも「安全上のリスクが増大する」からだと、当時の首相が国会で答弁している。
晴男 そうなんだね。運転期間に上乗せするのは規制委の審査期間だけかい。
秋平 再稼働に必要な対策工事の期間もそうだ。裁判所の仮処分命令で停止した後、上級審でその命令が取り消された場合の期間も、上乗せして延長できる。
晴男 審査基準では、事業者の「不適切な行為の結果」で停止した期間は、上乗せの対象にしないといってたね。
70年以上運転も
秋平 たとえば、テロ対策の不備で東電柏崎刈羽原発(新潟県)が事実上の運転禁止命令を受けた期間など一部に限られる。
晴男 今回の法改定で、70年以上運転できる原発もあるんだ。
秋平 それこそ心配だ。世界で60年を超えて運転している原発はないというし。老朽原発を動かすことはやめさせよう。
〔2025・4・10(木)〕
(「しんぶん赤旗」2025年4月10日より転載)