原発の使用済み核燃料の再処理で発生する「死の灰」を大量に含む高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)の最終処分地の「要件・基準」を検討している経済産業省の地層処分技術作業部会が12月11日開かれました。議論の「中間整理」案が示され、関係学会などに意見を求めることにしました。
処分地選定をめぐって政府は5月、地方自治体が受け入れを表明するのを待つ従来の公募方式が進まないため、国主導で適性が高いとされる「科学的有望地」を示す方針に変更しています。また、政府は、核のゴミを地下300メートルより深い地層に埋める地層処分を採用しています。
「中間整理」案では、地質環境や処分施設の建設・操業時、廃棄物「輸送時の安全性、事業の実現可能性について、「回避すべき範囲」などの要件・基準を整理。火山の中心から15キロ以内であることや活断層の長さの約100分の1程度の範囲、鉱山がある範囲などは、安全上著しい影響を与える可能性が高い「回避すべき範囲」としています。こうした範囲に当たらない地域を「適地」に分類しています。
一方、地質環境や建設・操業時での「好ましい範囲」は、全国規模の公開データが限られることなどから「現時点で要件・基準の設定は困難」としました。
輸送では、海上輸送が「最も好ましい」として、港湾から20キロ以内が「適当」だとしています。中間整理案では「適地」に加え、輸送時の「好ましい」とされた地域を「より適性の高い地域」と分類。作業部会では、これに当たると議論された沿岸海底下の地層処分の技術的課題を検討する研究会を来年1月に立ち上げることを決めました。
(「しんぶん赤旗」2015年12月12日より転載)