原子力規制委員会は30日、北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)について、再稼働の前提となる新規制基準に「適合している」とする審査書を正式に決定しました。規制委による適合と判断された原発は18基目です。
規制委は4月に審査書案を了承。意見募集には、30日間で143件の意見が寄せられ、「海底断層の調査が不十分」などの指摘がありました。
北海道電は2013年7月に審査を申請。審査は12年に及びました。
敷地内の断層をめぐって北海道電が断層の活動性を否定する根拠にした火山灰層が追加調査で見つからず、審査が振り出しに戻るなど、活断層ではないと規制委が判断するまで8年かかりました。また、説明や資料の不備から、北海道電に地震、津波、地質などの専門家が不足していることがたびたび指摘されました。審査が長期化した中で、途中から規制委側が毎回論点を示す「泊スペシャル」と呼ばれる審査体制も取られました。
北海道電は、防潮堤などの対策に建設費を上回る5150億円、テロ対策費も含めると計6270億円かかるとしています。
北海道電は津波の漂流物対策のために泊村に核燃料の荷揚げなどのための専用港湾を新設し、専用道路で結ぶとしていますが、今回の審査対象ではなく、費用も未定です。
再稼働について北海道電は「27年のできるだけ早期」としていますが、地元自治体の同意を得る必要があります。また、同原発をめぐっては札幌地裁が22年に津波対策不備を理由に運転差し止めを命じ、控訴審での審理が続いています。
(「しんぶん赤旗」2025年7月31日より転載)