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COP21 今世紀中に実質ゼロを・・温室効果ガス 議長が協定新草案

【パリ=島崎桂】パリで開催中の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で議長を務めるファビウス仏外相は12月10日夜、新たな温暖化対策の国際的枠組みとなる「パリ協定」の新草案を発表しました。

 ファビウス氏は「法的拘束力があり野心的な合意をつくるべきだ」と強調。会期を1日延長し、12日朝に最終案を提示し、採択を目指します。新草案は、全体として協定発効後も各国と全体の取り組みを定期的に評価・改定する機会を設けています。改定時には、可能な限りの「前進」を求めているほか、19年に「促進的対話」を行い、取り組みの強化を図ることも示しました。

 同案は、世界の平均気温上昇を産業革命以前(1850年頃)から「2度未満」に抑制し、1・5度未満に抑える努力をする」と明記。「排出のピークを可能な限り早く抑え」た後、「今世紀後半にも温室効果ガス排出の実質ゼロ(森林や海による吸収量が排出量を上回る状態)を達成するため、迅速な削減に取り組む」としました。温室効果ガス削減の具体的な数値目標は見送りました。

 先進国と途上国の取り組みについては「先進国は引き続き率先して行動すべき」だとしつつ、合意にいたらない箇所も残しています。温室効果ガスの削減目標では、途上国を含む全ての国に対し、「異なる国情や発展段階に応じて」提出するよう求めています。排出量が減少に転じる時期についても、「途上国ではより長い時間を要することを認識」するとしています。

 「排出の多い(発電所などへの)投資を減らすよう促す」と明記。石炭火力発電などにクギを刺した形です。

 協定発効の要件では、協定を批准・承認する国の数だけでなく、それらの国の総排出量が全体の一定割合に達することも追加しました。

 会議に参加している地球環境市民会議(CASA)の早川光俊専務理事は、「各国の取り組みを定期的に点検し、引き上げていく仕組みができた点は大きい」との見方を示しました。

(「しんぶん赤旗」2015年12月12日より転載)