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ケーブル現場確認なし・・再稼働審査 新基準に反し混在

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)などで安全設備関連のケーブルが新規制基準に反して分離されていなかった問題で、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査や検査では現場で確認が行われていないことが12月5日、規制委への取材で分かりました。問題発覚後、規制委は情報収集を始めましたが対象範囲を限定しており、対応は遅れています。

 規制委は、九州電力川内原発(鹿児島県)など合格した複数の原発でも、ケーブルの分離に関する現場確認をしておらず、電力会社の申請内容をチェックする審査の在り方が問われそうです。

 柏崎刈羽1〜7号機では、原子炉水位計のデータを送信したり、注水操作で使われたりするケーブルと、他のケーブルが混在していたケースが多数判明。原発の新規制基準は火災対策として分離を求めていますが、規制委は東電から報告があった9月まで問題を把握していませんでした。類似のケースは同じ沸騰水型の東電福島第2原発3、4号機や中部電力浜岡原発4号機(静岡県)などでも見つかりました。

 規制委事務局の原子力規制庁によると、審査でケーブルは申請書類のチェックだけで、現場での目視確認は行いません。使用前検査でも耐火設備や消火設備を見ることはあるものの、ケーブルの混在は点検していないといいます。

 柏崎刈羽で最初に混在が見つかったのは中央制御室の床下でした。規制庁は沸騰水型を持つ電力各社に中央制御室床下で同様の問題がないか報告を求めました。加圧水型を保有する各社からも同じ目的で聴取。伯崎刈羽では他の場所でもケーブルの混在が判明し、問題は広がりを見せています。

 規制庁は「現時点で、加圧水型でもケーブルが混在している可能性がないとは言えないが、今後の対応は決まっていない。まずは東電の報告内容の分析を進める」としています。

 加圧水型のうち、川内原発では1号機が今年8月、2号機は10月に再稼働しました。関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と四国電力伊方原発3号機(愛媛県)も審査を通っています。

(「しんぶん赤旗」2015年12月6日より転載)