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ミヤンマー石炭火力増設計画・・安倍政権が異常な介入/容量66倍化の策定まで & 現地住民が来日し訴え

ガヨーカウン石炭火力発電所の建設予定地は美しく豊かな海に面している=エーヤワディー管区(ビューティフル・ビーチ・ディベロップメント・ネットワーク提供)
ガヨーカウン石炭火力発電所の建設予定地は美しく豊かな海に面している=エーヤワディー管区(ビューティフル・ビーチ・ディベロップメント・ネットワーク提供)

 パリで聞かれているCOP21では、温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電に厳しい視線が注がれています。世界の「脱石炭」の流れに逆らい、石炭火発輸出を進める安倍晋三政権が、輸出を狙う国で石炭火発増設が必要だという電力計画までつくっていたことが分かりました。

(佐久間亮) 


 輸出先の一つが、軍政から民政へと移行しつつあるミャンマーです。現在4カ所で日本企業による巨大な石炭火発の建設計画が持ち上がり、発電容量の合計は最大4980メガワットに達します。

 多国籍企業が進出してこなかった同国を、日本は官民挙げて「最後のフロンティア」と位置づけています。今後の電力需要の伸びを見越し、石炭火発を輸出しようという算段です。

 外務省所管の国際協力機構(JICA)は、ミャンマーの電力マスタープラン策定を″支援″するため2013年に調査を開始しました。JICAの資料によれば、同国で見込まれる急激な電力需要の伸びに対応するため、最大で石炭火発の発電容量を13年の120メガワットから30年までに66倍の7940メガワットにする必要があるというシナリオを示しています。

 同シナリオでは、石炭火発が全電源に占める比率は13年の3%から30年に33%に急増します。一方で、30年の再生可能エネルギーの比率は9%にすぎません(水力除く)。安倍政権が策定した30年の日本の電源構成(石炭火発26%、太陽光7%、風力1・7%)とうり二つです。

 石炭火発の輸出を狙う日本企業の権益のために、日本政府が石炭火発火増設のシナリオを描いているのです。

 東南アジアでの日本企業による開発を監視するメコン・ウォッチの土川実鳴(みなり)さんは、ミャンマーの電力マスタープランのように日本の政府機関が各国の開発計画策定にかかわっている事例は少なくないと指摘します。「開発支援は住民の要求から出発すべきで、マスタープランまで策定して石炭火発を輸出するようなやり方はやめるべきです」

(「しんぶん赤旗」2015126日より転載)


“投資は再生エネに”・・現地住民が来日し訴え

来日してミャンマーヘの石炭火発建設の中止を訴える現地の住民代表ら=11月26日、国会内
来日してミャンマーヘの石炭火発建設の中止を訴える現地の住民代表ら=11月26日、国会内

 日本政府と企業に石炭火発を輸出しないよう求めるため、11月末にミャンマーの現地住民が来日しました。

 住民たちは豊かな土地や漁場が石炭火発によって破壊されることに危惧を示し、「わたしたちは石炭から電力を得ることを望んでいない」「投資は再生工ネに」と訴えました。

 モン州アンディン石炭火発計画について住民代表のニーマーウーさんは事業を担う東洋エンジニアリングの関連会社が住民に提示した分厚い計画書(ファイル6冊分)は、現地語ではなく、英語のみで書かれていたため住民は読むことができなかったと言います。事業者が行政に提出した建設に賛成する署名6000人のなかには、死亡した人や外国にいる人の名前が入っていたと、デタラメを告発しました。

 誰のための建設なのかも問われています。建設予定4ヵ所のうち2ヵ所では、発電で得られる電力の7〜9割が隣国タイヘの輸出用です。

 エーヤワディー管区のガヨーカウン石炭火発は国内向けとされているものの、建設予定地の村に住むモウチョートゥさんは「村に電気が来る計画は無い。石炭火発は地域住民になにも利益をもたらさない」と怒ります。

(「しんぶん赤旗」2015年12月6日より転載)