【パリ=島崎桂】パリ郊外モントルイユで5日、「気候ではなく制度を変えよう」を合言葉に、世界各国の市民・環境団体が参加する「市民サミット」が開幕しました。パリで開催中の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で各国政府が地球温暖化対策を話し合う中、参加者たちはそれぞれの対案を掲げ、草の根からの気候変動対策を呼び掛けました。
パリ同時多発テロ直後に仏政府が発令した非常事態宣言により、COP21関連の市民運動の多くは禁止されました。今回の「サミット」は、当局が許可した数少ない催しの一つです。
モントルイユ市庁舎を中心とした広場や通りには数多くのブースが並び、討論会や物産展、参加型のゲームが行われました。会場の中心には短冊を葉に見立てた木が設置され、訪れた人たちは色とりどりの短冊に環境保護への思いを書き込みました。
農業団体は、野菜や果物の旬を当てるゲームを開催。係員の女性は、「旬の食材は他の食材と比べて生産に必要なエネルギーが少なくて済みます。旬を選ぶ食生活が広まれば、環境への負荷も少なくなります」と話していました。
仏反核団体「核脱却」は、「原発は気候変動の解決策にならない」として、福島原発事故の影響や被害者の現状を記したビラを配布。同団体のゴチエ・ジャックマンさんは、「国策として原発を推進してきたフランスでは、原子力ロビーが強い影響力を持っている。仏政府は彼らの経済的利益のために動き、エネルギー(生産)の転換を求める国民に背を向け続けている」と批判しました。
「2050年のモントルイユ」を話し合う討論会では、参加者が緑地の増加や再生可能エネルギーの拡充、交通手段の低炭素化などの意見を出し合い、同市の航空写真を下敷きに「緑の都市」の完成予想図を作成していました。
(「しんぶん赤旗」2015年12月7日より転載)