気候変動を引き起こす二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス。フランスでは、COP21が開かれ、その削減がまったなしです。そんななか、日本の2014年度の温室効果ガスの排出量が13年度に比べ減少したことが話題になっています。
減少の理由は省エネと再生可能エネルギーの普及です。政府が「低炭素」と位置づける原発は2014年度は1基も動いていません。
環境省が11月末に公表した速報値によると、14年度の総排出量は13年度に比べ3%減の13億6500万トン(CO2換算)でした。政府は、減少の主な要因に「電力消費量の減少や電力の排出原単位の改善に伴う電力由来のCO2排出量の減少」をあげます。つまり、省エネで電気の使用が減り、その上、CO2排出がゼロの再エネや排出が石油や石炭より少ない天然ガス火力の発電割合が増えたので、日本全体のCO2排出量が減少したというわけです。
太陽光発電を中心とした再エネは、この間、うなぎ上りです。再エネによる発電量は、13年度当初の12億キロワット時から14年度末には28億キロワット時と2倍以上になりました。(自家消費分を除く、資源エネルギー庁調べ)
日本の温室効果ガスの排出が、過去最高だったのは07年度(14億1200万トン)ですが当時は55基の原発がありました。
政府は原発を「低炭素」エネルギーとして、気候変動対策に位置づけ、増やし続けてきましたが、CO2排出量は減ってきませんでした。今回の結果は、原発は事故や核廃棄物のリスクがある上、温室効果ガスの削減にも役立たないことを示しています。
脱原発との両立示す・・気候ネットワーク代表 浅岡美恵さんの話
従来、原発が止まれば火力発電の炊き増しで、C02が増えると言われてきました。今回の結果は、脱原発と温室効果ガス削減が両立することを示しています。
危険な気候変動を防ぐためには、さらに大幅な削減が必要です。カギは再エネと省エネです。太陽光発電は今年の夏の電力需要のピークを担いました。省エネ・節電は東日本大震災以降、国民の意識と社会に定着しました。
この一歩を定着させるために、個人や企業の自主的な努力でなく、排出規制や炭素の価格付けなど削減につながる制度の確立が求められています。
(「しんぶん赤旗」2015年12月4日より転載)