「必ず復興するという心意気を高く持とうと、船の名前は『不屈丸』にしました」。東日本大震災で被災した岩手県大船渡市のカキ養殖漁家、新沼治さん(68)=大船渡民主商工会会長=は、復興への決意をその名に込めた船と、船名が染め抜かれた大漁旗とともに生業(なりわい)の再建を進めています。
新沼さんは、津波で自宅と作業船3隻などを失いました。昨年(2013年)の暮れ、水産庁の補助事業で購入した作業船が完成。会員である治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟が発行する月刊誌『不屈』を船の名前に選びました。同同盟気仙支部からは「不屈丸」の船名を大書した大漁旗を贈られました。
負けねえぞ
「何もかも津波に持ってかれたけど、負けねえぞ、へこたれねえぞという気持ちです」
今年の秋から新しい船での養殖作業が本格化します。カキの荷さばき場などの漁港施設の建設も始まり、新沼さんは「震災から3年、やっと形になってきた」と笑顔を見せます。
増税なんて
国の支援策が乏しい中、業者の生業再建は遅れ、多くの民商会員も廃業や再建断念に追い込まれています。
「消費税増税などとんでもない。国が被災者に寄り添った支援をしてこそ、復興できます。私たちも全力で頑張ります」
仮設でひなまつり 仙台
仙台市太白区の「あすと長町」仮設住宅で3日、ひなまつりを祝う「おしるこカフェ」が開かれ子どもから高齢者まで20人以上の住民が参加しました。
寄贈された7段のひな壇の飾りつけを先月、参加者みんなでおこない、ひなまつり当日もおしゃべりや歌を楽しみました。
宅地被害で自宅が全壊し仮設佳宅で1人暮らしの佐々木はつよさん(84)は「交流の場が少ないので、すごくうれしい」と話します。
支援団体のメンバー下山浩一さん(48)=千葉県松戸市=は「月1回のおしるこカフェはお茶の間を再現して会話を楽しむ場をつくりたいと2年前から始めました」と話しました。