東日本大震災の大津波で被害を受け、東京電力福島第1原発の事故で避難を強いられた原発周辺の住民たち。被災から3年、いまだに深い傷痕が残っています。 (東日本大震災取材班)
福島県いわき市の飲食店経営の女性(54)は、店舗兼自宅が津波にあい、1階の店が浸かりました。その後、発生した火災で焼失しました。
2年前に再建しました。「売るものはほとんどありませんでしたが、明日への希望を見るために始めました。人のいない町をみて、原発のある街で何が起きたか見てほしい。まだまだ国の支援が必要です」
町民避難が続く楢葉町に入ると、道路脇の農地に何段もにつまれた黒い袋やブルーシートに覆われた山のようなものをあちこちでみかけました(写真①)。除染で出た放射性廃棄物です。
富岡町のJR富岡駅は立ち入り禁止のまま。津波被害そのままの姿を残していました。(写真②)
同町の夜ノ森駅近くには検問所がありました。(写真③)
放射陛焼却灰 安全優先の行政を・・千葉地裁支部口頭弁論で住民
千葉県が県営手賀沼終末処理場(我孫子、印西両市)内に一時保管している高濃度放射性廃棄物の撤去を求める訴訟の第1回口頭弁論が3月7日、干葉地裁松戸支部(森一岳裁判長)でありました。
訴訟は、処理場周辺に住む32人の市民が県を相手取り、今年1月に提訴。今月6日には新たに13人が提訴し、原告は45人となっています。
県は2012年6月、福島原発事故で発生した放射性物質を含む焼却灰の処理について、住民への説明が十分ないまま手賀沼処理場に「一時保管施設」を設置すると決定。放射性廃棄物搬入の反対署名が約1万6000人分集まりましたが、県は同年12月に搬入を強行。合計526トンの焼却灰を保管しています。
意見陳述で原告代表の小林博三津氏は、昨年の台風では一時保管施設の周りにたまった水が引かず不安を覚えたと述べ、「施設に異常が発生した場合、県は住民の安全をどう確保するのか」と話しました。
原告代理人代表の及川智志弁護士は、住民の改善要望に耳を貸さない県の姿勢を批判。「放射性廃棄物の処理に当たっては、一部の地域住民に危険を押し付けるという原発政策と同様の過ちを繰り返してはならない」と訴えました。
県は答弁書で法律、ガイドラインを守っているので安全と主張し、原告と争う構えです。
次回の口頭弁論は、5月23日に行われます。