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大震災から3年 被災地は今④・・実情踏まえ住民合意で/防潮堤計画

(写真=上)「自然との共生が大切」と巨大防潮堤の建設に反対してきた気仙沼大島観光協会の白幡会長=2月25日、宮城県気仙沼市 (写真=下)海抜9・8メートルの防潮堤が計画される日門漁港で話をする畠山さん(左)と芳賀さん=2月25日、宮城県気仙沼市
(写真=上)「自然との共生が大切」と巨大防潮堤の建設に反対してきた気仙沼大島観光協会の白幡会長=2月25日、宮城県気仙沼市
(写真=下)海抜9・8メートルの防潮堤が計画される日門漁港で話をする畠山さん(左)と芳賀さん=2月25日、宮城県気仙沼市

東日本大震災の大津波に襲われた被災3県で進められる防潮堤建設計画・・。「住民の生命・財産を守るため」を大義名分に、「防潮堤の高さは変えない」とかたくなな態度を取ってきた宮城県ですが、「こんな高い防潮堤はいらない」「環境や景観に配慮してほしい」との住民の声に押され、一部地域で計画の見直しが進んでいます。

原形で復旧に

気仙沼市大島の小田の浜海水浴場と、隣の田中浜に提示された海抜11・8メートルの巨大防潮堤計画は、3・5メートルと3・9メートルの元の高さに戻す原形復旧に見直されました。

気仙沼大島観光協会会長の白幡昇一さん(62)は当初、「この高さでは海水浴場が死んでしまう」と反発。協会の役員会でも巨大防潮堤を築くことは反対と話し合いました。

昨年(2013年)8月、海水浴客でにぎわう小田の浜海水浴場を震度4の地震が襲った時、マイクで避難を呼びかけ、5分で1000人以上を高台に誘導しました。白幡さんは「避難体制が取れていれば巨大な防潮堤はいらない」と改めて実感しました。

昨年11月30日と12月1日の住民との意見交換会で県は、11・8メートルの防潮堤案を提示しましたが、住民のほとんどが反対。今年2月15日の意見交換会で県は、原形復旧に方針転換しました。

行政を動かす

白幡さんは「昨年の説明会で住民は小田の浜・田中浜を愛し、守っていきたいという意思を示しました。その思いが行政を動かしたのではないか」と語っています。

しかし、宮城県全体の計画への住民合意は81%となっており、早くから住民と話し合い、全地区で合意した岩手県とは対照的です。宮城県内では住民への説明がまだ進んでいない地域もあり、漁港海岸での合意は45%にとどまっています。

気仙沼市本吉町の日門漁港では海抜9・8メートルの防潮堤建設が計画されていますが、隣接する田の沢地区ですすんでいる、ほ場整備事業の区域にかかります。これが明らかになった昨年12月に開かれた防潮堤についての地区住民への説明会に、ほ場整備事業の関係者で参加したのは同地区に住居を持っていた畠山淳さん(57)だけでした。

畠山さんらは、一昨年12月から、ほ堤整備事業の話し合いを続け、来年春の作付けを目指し、事業がスタートしています。畠山さんは、「防潮堤が少しでもかかれば、一年以上話し合った計画が練り直しになる」と困惑しています。

同漁港で刺し網や採貝漁業を営む芳賀勝英さん(69)も「9・8メートルはかなり高い」と話します。「漁港への出入りも非常に不便になる。いざという時にげられるのか」

日本共産党の横田有史宮城県議団長は「県には住民の声をよく聞き、生活環境や産業の実情を踏まえ、住民合意のない防潮堤計画は見直す、柔軟な姿勢が求められます」と話しています。
(つづく)

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