大震災津波から3年がたちましたが、いまもピーク時の約9割の被災者が狭くて寒い仮設住宅での生活を余儀なくされ、ストレスで心の不安を募らせ、我慢の限界に直面しています。県南の被災地で、津波で夫を亡くした女性が高台移転が決まっていたのに自殺するという、痛ましい事件も起きました。
格差が発生
被災者の命と健康を守ることは緊急の課題です。県が被災者の医療費や介護保険利用料などの免除措置を12月末まで継続したのは高く評価します。被災者が住宅を確保して自立するまでは、免除を続けるべきです。
今年から来年にかけて災害公営住宅への移動が大規模に行われ、被災者の間に変化も格差も生まれます。住宅確保の見通しが立たない被災者は取り残された気持ちに陥ります。これまでにも増して被災者に寄り添い、心のケアをすることが求められます。
被災者の持ち家再建への支援の強化は、最も切実な問題です。県と市町村が100万円補助、被災市町村がさらに100万~300万円の上乗せ補助、住宅ローン利子補給などを実施するなか、持ち家再建の希望者が増加している地域もあります。しかし、時間の経過とともに再建を断念する人も出ています。
災害公営住宅の1戸当たりの建設費は造成費用もふくめて約1800万円に及び、維持管理費もかかります。持ち家再建のために国の支損金を増額させるとともに、県や市町村が100万円~200万円以上のさらなる支援をした方が費用対効果が高く、被災者の願いに応えるものにもなります。
持ち家再建での大きな障害が、津波で流失した住宅のローンを被災者が払い続けざるを得ない実情です。
私的整理ガイドライン運営委員会への県内の申請数(911件=1月末現在)にたいして、債務整理開始申し出と債務整理の合計件数は、わずか32%にとどまっています。県は国、ガイドライン運営委員会、金融機関に制度の改善を強く要請すべきです。
働き手不足
産業の再生と安定した雇用の確保は、被災者の生活再建の土台です。復興需要で求人倍率は上昇しているものの、水産加工業など地場産業は回復していません。
被災地では働き手が不足しています。Uターン、Iターンをして復興に携わりたい人がいても、住む場所がありません。復興庁は2月にやっと、空いている仮設住宅の目的外使用を認めました。私は2月28日の一般質問で「一日も早く活用できるように県は対応すべきだ」と要求し、県も「急いで取り組みたい」と答弁しました。
被災したJR山田線と大船渡線の早期復旧は重大な局面を迎えています。JR東日本は山田線を三陸鉄道に経営移管する案と、大船渡線を山側にルート変更して総事業費で400億円(うち行政の負担が270億円)もかける案を突然提示しました。被災地に無理難題を押し付け、大災害に乗じて赤字路線を切り捨てるのは、絶対に許せません。
JR東日本は昨年(2013)3月期末決算では、経常利益で3174億円、内部留保で2兆4690億円もため込んでいます。JR東日本を包囲する県民的な運動が必要です。
聞き手 岩手県・三国大肋