中部電力浜岡原発(静岡県)で1、2号機が廃炉になったため、使用済み燃料プール全体の貯蔵容量が減少し、残る3基が再稼働すれば2年余りで切迫した状態に陥ることが5月23日、分かりました。3月末時点で、全国の原発のうち最もプールの余裕が乏しくなりました。
原発を保有する電力各社は半年に1度、使用済み燃料の貯蔵量や、事実上の貯蔵許容量である「管理容量」を電気事業連合会に伝えています。
電事連によると、中部電は3月末時点の浜岡原発の管理容量を半年前に比べ440トン減の1300トン、貯蔵中の使用済み燃料は同10トン減のI130トンと報告しました。
中部電は3月、浜岡1、2号機のプールに残っていた燃料の搬出を終えたと発表。今後この2基のプールは使わないため管理容量から除外しました。一方、使用済み燃料のうち10トンは日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県)に移送しました。
管理容量から現在の貯蔵量を差し引いた余裕分は170トン。3〜5号機が再稼働した場合、経済産業省資源エネルギー庁の見積もりに基づき計算すると、2・3年で管理容量を超えます。従来は1、2号機プールも使う前提だったため、容量超過まで8年の余裕がありました。
ただ、中部電は4号機の再稼働の前提となる審査で、使用済み燃料を空気で冷やす乾式貯蔵施設の建設を申請。原子力規制委員会が認めれば、管理容量は増えます。同社は乾式施設の2018年度の運用開始を目指しています。
東京電力が再稼働の姿勢を明確にしていない福島第2原発を除く全国15原発のうち、これまでプールの余裕が最も乏しいとされていたのは九州電力玄海原発(佐賀県)でした。
(「しんぶん赤旗」2015年5月25日より転載)