
環境影響評価法(アセス法)の改定案が6日参院本会議で審議入りし、日本共産党の山下芳生議員は、日本の環境影響評価制度が、電力業界の要求で原子力などの発電所を適用除外としてきた歴史を指摘し、そうした措置を撤回するよう求めました。
巨額の公費を投入し国策事業となっている半導体製造やデータセンターが大量の電力や水を消費して、大量の有機フッ素化合物を使用し、温室効果ガスを排出していると告発。主要国が導入する、個々の事業よりも上位の計画や政策の意思決定段階で環境配慮を行う戦略的環境影響評価制度の導入を求めました。浅尾慶一郎環境相は「各国で事情は異なる。慎重に検討すべきだ」と述べるにとどまりました。
山下氏は、原子力規制委員会の新規制基準で重大な環境影響が回避されるわけではないと強調。アセス法では放射性物質が評価項目になっており、原子力発電所も同法に基づいて評価すべきだと求めました。東京電力福島第1原発事故では広大な地域が汚染されており、原発の「安全神話」と決別し、原発アセスの評価項目に「事故」を設置すべきだと迫りました。浅尾氏は「規制委員会で厳格に審査が行われる」と強弁しました。
山下氏は、建造物の建て替え事業でアセスの重要な手続きを省略できる「建替配慮書」が法案で新設されることを巡り、アセス法の規定する報告書の要件や公表、環境相、経産相の意見などが発電所には電気事業法で適用除外とされ、環境保全措置の内容、効果および不確実性の程度などが全く反映されないと批判し、特例措置の撤廃を要求しました。
(「しんぶん赤旗」2025年6月8日より転載)