政府は5月22日、原発の使用済み核燃料や再処理で発生する「死の灰」を大量に含む高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)の最終処分に関する新たな基本方針を閣議決定しました。
処分地選定について、地方自治体が受け入れを表明するのを待つ、これまでの公募方式から、国が「前面に立って」適性が高いとされる「科学的有望地」を提示する方針に変えました。基本方針の改定は7年ぶりで、東京電力福島第1原発事故後初めて。
新たな基本方針は、処分方法について、従来通り、高レベル放射性廃棄物の液体をガラスと固めた核のゴミ(ガラス固化体)を地下300メートル以上の深い地層に埋設する「地層処分」を採用。将来世代が、より良い処分方法を選択できるよう、最終処分施設の閉鎖までの間に廃棄物を回収・搬出ができるようにするとしました。同時に、使用済み核燃料を再処理せずに直接処分する調査研究や、空冷式の貯蔵施設など使用済み核燃料の貯蔵能力を拡大する取り組みを強化するとしました。
処分方法や処分地選定などについて、これまで原子力の推進を担ってきた内閣府の原子力委員会がその妥当性を審議することも盛り込みました。
処分地選定では、これまで経済産業省の認可法人、原子力発電環境整備機構(NUMO)が2002年から処分場を受け入れてくれる自治体を公募してきましたが、まったく進んでいません。地震・火山大国で長期にわたって地層が安定な場所を見つけることの困難さや、国民の不安の声が強いためです。
「核のゴミ」をいっそう増やすことになる、原発の再稼働を進める政府が、処分場選定の「前面に立って」も、国民の理解を得られるどころか、反発を招くのは必至です。
(「しんぶん赤旗」2015年5月23日より転載)