東京電力福島第1原発事故を受け、当時18歳以下だった県民を対象に実施している甲状腺検査について、福島県は5月18日、2巡目の検査で3月末現在、15人が甲状腺がんやその疑いと診断されたことを明らかにしました。このうち手術を受け、がんと確定したのは5人。
福島市で同日開かれた有識者検討委員会の会合で県が報告しました。15人のうち14人は、1巡目の検査で異常なしと判定されていました。
検討委の星北斗座長(県医師会常任理事)は記者会見で、原発事故の影響は考えにくいとの見解を維持。「多いとか少ないとか議論する段階ではない」と述べ、2巡目が終わった後に改めて評価する考えを示しました。
2巡目の検査は、事故当時母親のおなかにいた子どもを新たに対象に加え、昨年4月から実施。約38万5000人のうち、約12万2000人の結果が確定しました。
県は会合で1巡目の結果も提示しました。3月末現在で112人が甲状腺がんやその疑いと診断され、がんが確定したのは98人。受診率は81・5%でした。
(「しんぶん赤旗」2015年5月21日より転載)
規制委 緊急時の被ばく線量限度・・上限250ミリシーベルト改定案
原子力規制委員会は5月20日、原発で働く作業員の緊急時の被ばく線量限度について、これまでの100ミリシーベルトに加え、原発敷地外に放射性物質が放出される可能性が高い場合は、上限が250ミリシーベルトまで引き上げられるとする規則などの改定案をまとめました。作業員を緊急作業に従事させるためには、事前に書面で本人の同意を得ておくことなどが条件です。
改定する規則は来年4月の施行を目指しており、最も早いとみられる九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働には間に合わない見通し。
東京電力福島第1原発では、事故を受けて同原発の緊急作業に限って、作業員の被ばく線量限度を250ミリシーベルトに引き上げました。事故発生直後、250ミリシーベルト超の被ばくをした作業員が6人いました。
高線量被ばくの可能性がある作業員は書面による事前同意のほか、訓練を受ける必要もあります。規制委は一般から意見を募集した上で、規則の改定案を放射線審議会に諮問します。
(「しんぶん赤旗」2015年5月21日より転載)