東京電力は4月21日、福島第1原発の外洋につながる排水路で、流出防止のために設置したくみ上げ用ポンプが停止していたと発表しました。排水路の水が外洋に流れていることが確認されました。外洋への放出量や放射能濃度などは調査中です。
問題のK排水路では、国の放出基準を超える放射能汚染水が排水路を通じて外洋に流出する状況が長期間放置されていたことが2月に発覚しました。汚染水の外洋への直接流出を防ぐため、ポンプでくみ上げて同原発港湾につながる別の排水路に流す対策を、今月17日に始めたばかりです。
東電によると、21日午前8時45分ごろ、1日3回行っている確認作業で、ポンプ全8台が停止しているのが見つかりました。排水路の水が堰(せき)を乗り越えて外洋に流れていました。20日午後2時30分ごろの前回点検時には、ポンプは動いていました。同原発の20日の降雨量は11ミリ。
原子力規制庁によると、8台のポンプは同じ発電機から電力の供給を受けており、この発電機が故障したのが原因だとしています。
K排水路では、降雨時などに排水口付近の水から1リットル当たり1050ベクレルの放射性セシウム、同1500ベクレルの全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)といった高濃度の放射性物質が検出されていたにもかかわらず、測定値を10カ月以上公表しなかったことが問題となっていました。国の放出基準(告示濃度限度)は、セシウム137が同90ベクレル、セシウム134が同60ベクレル、ストロンチウム90が同30ベクレル。
東電の推定によると、昨年4月から今年2月までの放出量の平均は、放射性セシウムが1日当たり6・4億ベクレル、全ベータが同7・2億ベクレル。
原告“不安、心晴れず”・・松山地裁 伊方原発差し止め訴訟
伊方原発(愛媛県伊方町)の再稼働を狙う四国電力に対し、県内外の1338人が起こしている運転差し止め訴訟の第11回口頭弁論が4月21日、松山地裁(西村欣也裁判長)でありました。
原告代理人は、事故時に約50キロ離れた松山市でも高線量の被ばくがあることなどをシミュレーションで示して指摘。原子力規制委員会の審査が進められる中、両稼働前の判決を求めました。
伊方原発から10キロの八幡浜市に住む、原告の斉間淳子さんが意見陳述。「原発の近くで住む人たちは平然とした日常生活を送っていながら、緊張と焦りが続いています。心が晴れることはありません」と訴えました。
記者会見した原告弁護団の中川創太氏は、14日の福井地裁による関西電力高浜原発の再稼働差し止め仮処分の決定にふれ、22日には鹿児島地裁で九州電力川内(せんだい)原発の差し止め仮処分の可否が決まることに言及。「伊方は来月にも
『合格証』が出る。仮に、川内で(差し止め決定が)出れば、3番手とされていた伊方がトップに立つ状況」と述べました。伊方原発の差し止め仮処分申し立てについては、「明日の(鹿児島地裁の)結果いかんで原告団として議論して決めたい」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2015年4月22日より転載)