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財界の原発比率提言、20%超目標 政府に圧力・・「脱原発リスク」を強調

原子力産業協会の年次大会であいさつする今井敬会長=4月13日、東京・有楽町
原子力産業協会の年次大会であいさつする今井敬会長=4月13日、東京・有楽町

 安倍晋三政権が、2030年の電源構成をめぐり議論している最中、財界は相次いで原子力発電の比率を提言し、政府に圧力をかけています。

 A 経団連は今年(2015年)1月に発表した「経団連ビジョン」の中で、原発を「重要なベースロード電源」として活用し、総発電電力量の25%超をまかなうことを求めた。原発のリプレース(建て替え)も強調した。司会は、今月(4月)6日にも、この内容を盛り込んだエネルギー提言を発表した。

 B 3月に入ると経済同友会が、原発のあり方に関する提言を発表し、原発依存度について「20%程度を下限とする」ことを求めた。司会は、それまでの「縮原発」の方針から原発推進へ踏み込んだ。

 A 今月16日には、日本商工会議所も原発の稼働年数を40年から60年へと引き上げ、建設中の原発の運転開始などによって、「電源構成は『25%程度』とすべきである」とする提言を出した。

 C 多少の違いはあるけど、原発を最低でも20%にすることが、財界3団体の共通した目標になっているね。

 A 日本原子力産業協会が48回目の年次大会を13、14の両日開催した。国内外から950人が参加した大会の初日、今年を「原子力ゼロからの脱却の年」と位置付ける今井敬会長(経団連名誉会長)は、あいさつの中で「脱原子力リスク(危険)」を口にした。原発がないことが、エネルギー供給の不安定化やコスト上昇などを招く、との国民への脅しだ。

■実態は高コスト

 C 原発推進派の勝手な理屈だね。原発事故によって、むしろエネルギーの安定供給が脅かされてきたのがこの間の実態だ。それに原発事故のコストの方がよほど高くつく。だって、東京電力福島第1原発事故で東電は破綻状態じゃないか。伯崎刈羽原発が再稼働しないと東電は倒産するとまで言われている。「リスク」っていうけど、再稼働しないと電力会社がもうからない、というだけの話じゃないか。原子炉メーカーなど原発関連企業は、原発輸出でも大もうけをたくらんでいるしね。

 A 自民党は7日、「エネルギーミックスに関する提言」を安倍首相に提出した。

 「欧米の多くの国で、漸減傾向にあるが現状6割以上となっているベースロード電源の比率について、わが国において国際的に遜色(そんしょく)のない水準を確保すること」としている。

 C なんとも修飾語の多い提言だね。ただ、明確なのは6割という数字が入ったことだね。

■夏2回乗り切る

 A これをもって、原発推進勢力は、「ベースロード電源」を6割にし、その中で2割以上の原発比率を求める財界の要望に応じようとしているわけだ。

 B 現状、欧米では原発が6割になっているようだが、将来的には5割から4割に低下するとみられている。「国際的に遜色のない水準」というのであれば、5割や4割を目指すと提言を読むことができる。原発比率が2割以下に抑えられるという可能性もある。

 A そもそも、「ベースロード電源」という考え方も世界の潮流から遅れている、という意見もある。電源構成をめぐる議論が固まり、原発再稼働に突き進んでいると見るのは、時期尚早だろう。

 B 原産の今井会長も先のあいさつの中で「依然として、半数を超える国民が再稼働に反対」していると述べざるをえなかった。しかも、「電力需給の厳しい夏場を原子力発電なしで2回乗り切り、また電気料金の上昇も家庭ではさほどの負担感がない」と嘆いてすらいた。

 C 14日には福井地裁が関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を禁じる仮処分決定を出した。この決定は、「原発ゼロ」の運動を励ました。日本が本当に「原発ゼロ」にかじを切れるのか、これからのたたかいが鍵を握るね。

(「しんぶん赤旗」2015年4月21日より転載)

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