経済産業省は3月30日、2030年の電源構成(エネルギーミックス)を検討する長期エネルギー需給見通し少委員会(第5回)を開き、原発も含めた「ベースロード電源」で6割以上を確保する方針を示しました。
事務局は、安倍政権が2014年に閣議決定した「エネルギー基本計画」にもとづき、各電源の特徴を説明。地熱、水力、原子力、石炭を、発電(運転)コストが低廉で安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる「ベースロード電源」とし、これらで震災前の水準(6割)をめざすとしています。
また、火力、原子力の論点を示しました。火力発電は高効率化によって年2600万トンのC02削減が見込まれるとし、日本で運転中の最新式の石炭火力を米・中・インドの石炭火力に適用すると約15億トン(試算)の削減効果がある、とするなど海外展開にも言及しています。
原発については、依然として「運転コストが低廉」と11年発表の発電コスト「8・9円以上(キロワット時あたり)」を紹介。技術や人材育成にふれ「高い安全性を実現するためには、原子力発電所の運転が少ない状況が障害」とまで述べています。
委員から「どうしても原子力の比率を上げたいという雰囲気がある」「安全性の観点が欠落していないか」「震災で原発は長期停止のリスクがあることが明らかになった」などの意見が出ました。
同日、環境省・経産省合同の2020年以降の温暖化対策を検討する有識者会議も開かれました。
川内原発使用前検査
原子力規制委員会は3月30日、九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)で、再稼働に必要な使用前検査を開始しました。新規制基準に基づき審査が行われている原発で、規制委が使用前検査を行うのは初めて。
(「しんぶん赤旗」2015年3月31日より転載)