東京電力は3月18日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水から放射性物質を吸着して減らす装置「ALPS(アルプス)」で異常が確認されたため、試運転中の3系統全てを同日午後に停止したと発表しました。原因は調査中で、運転再開時期は未定といいます。
東電によると、3系統あるうちB系統で処理後の水を17日に採取して分析したところ、全ベータ(ストロンチウム90など)が1リットル当たり数千万ベクレルで、処理前の数億ベクレルから10分の1程度にしか減っていないことがわかりました。処理水の分析は週3回で、通常は数百ベクレル程度にまで下がるといいます。
東電は、「処理が不十分となっている可能性がある」と判断。B系統は18日正午すぎに装置のフィルターの洗浄のため運転を停止していましたが、残るAとCの両系統も処理が不十分になる可能性があるとして、同日午後1時40分前に停止しました。
アルプスは、汚染水からトリチウム(3重水素)以外の放射性物質を大幅に減らすことができるとして、政府と東電が汚染水対策の中核と位置づけています。しかし、液漏れなどのトラブルが相次いでいるほか、予定した性能も出ていないため、試運転状態が続いています。
アルプスの1日当たりの処理量は3系統で最大750トン。東電は、現在タンクで保管している約34万ベクレルの汚染水と日々発生する汚染水を2015年3月末までに処理するという計画を発表しています。