規制庁が回答
工事関係者から日本共産党への内部告発により2023年10月に発覚した日本原子力発電(日本原電)東海第2原発(茨城県東海村)の防潮堤工事の施工不良問題で、日本原電が、22年に発生した不具合についての報告文書を作成していなかったことなどが今月、新たに分かりました。市民側からの質問に、原子力規制庁が文書で回答しました。市民団体や共産党は「日本原電の、原発を運転する資格と能力が問われる」と指摘しています。
防潮堤工事をめぐっては、基礎の中に土砂が流入したことに伴って地中に設置する鉄筋が変形したほか、鉄筋が設計の深さから70センチメートル高い位置にとどまる「高止まり」が発生していたことが分かっています。
これらについて市民団体「とめよう!東海第2原発首都圏連絡会」が呼びかけて今年6月16日、規制庁や経産省へのヒアリング集会が都内で行われ、日本共産党の江尻加那県議と高橋誠一郎参院茨城選挙区候補も参加しました。
江尻氏はこの席で「22年3月以降の土砂流入や鉄筋変形などが発生した時点で、問題を報告する文書(CR)はなかったのか」と質問。規制庁はその場で答えず、7月7日付の文書で回答しました。
その中で、▽日本原電は22年3月の土砂流入についてのCRを作成していなかったこと▽23年3月の鉄筋の高止まり発生を原電自身が確認していたにもかかわらず、やり直しをすることなく5月1日にコンクリートを流し込んだこと―が明らかになりました。
これを受け、江尻氏は「記録に残すべき時に残さずに対応するなど、施工管理能力がないのが明らかだ」と批判。高橋氏は「防潮堤工事の施工不良の隠ぺいや、ずさんな工事を容認するいいかげんさ、さらには連続する火災発生なども含め、日本原電に原発を動かす資格がないことが明白だ」と強調しています。
(「しんぶん赤旗」2025年7月20日より転載)