東京電力は3月16日、福島第1原発でタンクにためている放射能汚染水について、目標の5月までに処理しきれない分が2万トンに上ることを明らかにしました。汚染水の総量的60万トンの3%に当たります。海水を多く含んでいるため、処理にさらに数カ月かかるといいます。他の汚染水は浄化装置「ALPS」(アルプス)とストロンチウム90を除去できる装置を併用し、一通り処理が完了する見通しだとします。
福島県楢葉町で同日開かれた政府と東電による廃炉・汚染水対策現地調整会議に東電が報告しました。
東電などによると、海水が多い汚染水は、含まれているマグネシウムなどの成分が障害となり、他の汚染水に比べALPSなどでの処理に時間がかかるといいます。
また、ストロンチウム除去装置で処理しても他の放射性物質が残るため、東電は62種類の放射性物質を取り除けるALPSで再浄化する方針です。全ての処理が来年5月までに完了するとの考えを示していた東電幹部は同日の会議後、「処理の状況を見極めて改めて示したい」と述べました。
東電は当初、3月中に処理を終える計画でしたが、ALPSの稼働率が想定に届かず断念。5月ごろに処理を終えると目標を変更していました。
(「しんぶん赤旗」2015年3月17日より転載)