福島第1原発のタンク群を囲う堰(せき)の外に高濃度の放射能汚染水が流出した問題で、東京電力は3月11日、当該タンク群近くの地下水の放射能濃度が約30倍に上昇したと発表しました。
東電によると、タンクの堰の汚染水流出地点から数十メートル離れた地下水観測用の井戸で11日に採取した水から、1リットル当たり1万1000ベクレルの全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が検出されました。前回の9日採取分は同370ベクレルでした。
問題のタンク群の堰からは推定747トンの高濃度汚染水が流出したことが10日に判明。
堰内の水から、最大で同8300ベクレルの全ベータを検出しており、国の放出基準(告示濃度限度=同30ベクレル)を大きく上回るストロンチウム90を含むことがわかっています。
今回の地下水濃度上昇について東電は、堰からの汚染水流出の影響である可能性があるとして、今後1週間をめどに監視を継続するとしています。
地下水濃度が上昇した場所の下流側には、地下水をくみ上げて海に放出している「地下水バイパス」のくみ上げ用井戸があり、汚染拡大が心配されます。
堰の近くで高い線量
東京電力は3月12日、福島第1原発のタンク群を囲う堰の外に高濃度の放射能汚染水が流出した問題で、堰の近くで、ベータ線が1時間当たり35ミリシーベルトと高い線量が計測されたと発表しました。
東電によると、この地点では2012年3月に高濃度の汚染水が約120トン漏えいする事故が発生。そのうち約100トンが地中に染み込んだため、表面の土壌を削り取って別の土で埋め戻したとしています。その後、堰をつくる工事を行った過程の状況については確認中だといいます。
(しんぶん赤旗2015年3月13日付けより転載)