「落ち着いた場所で眠りたい。もう疲れ果てた」―。宮城県気仙沼市の仮設住宅で暮らす女性(56)は、かぼそい声で言いました。知的障害のある息子は、仮設生活が続く中で興奮しやすくなり、状態は悪くなる一方だといいます。災害公営住宅に移れるのは、早くても1年以上先です。
本紙が東日本大震災の3カ月後から取り組んでいる「被災者300人実態調査」は、今回で7回目です。回を重ねるごとに状況が深刻化していることを痛感します。今回は、健康を悪化させている人が過去最悪の58%に達しました。
それだけに被災者に冷たい安倍政権への怒りは、激しいものがあります。
安倍首相の売り物である経済政策「アベノミクス」が被災地復興に役立っているかを問うと、「思わない」と答える被災者が大半です。「思わない」の前に「ぜんぜん」をつけ語気を強めて批判する人も少なくありません。
切望する住宅再建や災害公営住宅建設の遅れの大きな原因が、資材価格高騰や人手不足にあり、その元凶が「アベノミクス」にあることを被災者は鋭く見抜いているのです。
同時に、誰が被災者に心を寄せているかも知っています。取材先で「一番親身になってくれたのは、震災前に縁もなかった共産党の議員たち」(漁協幹部)などと、逆に激励されることもたびたびです。
この期待や願いにいっそう応え、復興への道をともに歩む。「しんぶん赤旗」の果たすべき責務を胸に刻みながら。
(東日本大震災取材班キャップ・森近茂樹)
(しんぶん赤旗2015年3月12日付けより転載)