東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)2号機の原子炉建屋山側にある大物搬入口屋上にたまった放射能汚染水が、排水路を通じて港湾外に流出していた問題で、この排水路に屋上とは別のルートから汚染水が流れ込んでいる可能性が示唆されています。大物搬入口屋上にたまった汚染水のトリチウム(3重水素)の濃度より高い濃度のトリチウムが排水口で観測されているからです。東電も「トリチウム源については調査中」と説明しています。
東電が2月24日、原子力規制庁に報告したデータによると、大物搬入口屋上で採取された汚染水からは、セシウム137が1リットル当たり2万3000ベクレル、全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性核種)が同5万2000ベクレル、トリチウムは同600ベクレルが検出されています。
屋上からの流入が疑われるK排水路の下流にある排水□では、セシウム137が1リットル当たり1・9〜770ベクレル、全ベータが同15〜1500ベクレルを計測。最高でも屋上の汚染水の30分の1程度。いずれも降雨で濃度が上昇する傾向があります。
東電はこうしたことから、2号機の大物搬入口屋上にたまった高濃度汚染水が雨どいなどを通ってK排水路に流れ込んだと説明しました。
しかし、トリチウムをみると異なる傾向を示しています。最低は1リットル当たり150ベクレルで、ほぼ数百ベクレル程度の濃度で推移しています。最高は同820ベクレルで屋上の汚染水より高濃度の場合もあります。降雨時には濃度が低下する傾向がみられ、屋上とは別の流入源を疑わせます。
(「しんぶん赤旗」2015年3月4日より転載)