日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > “大震災・原発事故4年”被災者の声・・農地の除染まだなのに 福島・南相馬市  高崎次雄さん(68)、荒木千恵子市議(65)、渡部寛一市議(62)

“大震災・原発事故4年”被災者の声・・農地の除染まだなのに 福島・南相馬市  高崎次雄さん(68)、荒木千恵子市議(65)、渡部寛一市議(62)

右から、渡部寛一市議、高崎次雄さん、荒木千恵子市議
右から、渡部寛一市議、高崎次雄さん、荒木千恵子市議

 福島県南相馬市は東京電力福島第1原発から20キロ圏内が大半の小高区、20〜30キロ圏内が大半の原町区、30キロ圏外が大半の鹿島区に分かれています。

 震災・原発事故以前は10ヘクタールの田んぼで作付けをしてきた原町区北原の高崎次雄さん(68)は、市が送ってきた今年の稲作の作付けをするかどうかの意向調査を手に、悩ましげに話しました。

 「作付けはしたいが、農地の除染がまだなのに、どう返答していいか・・・」

 市が行う農地除染の目標は今年3月末までの完了ですが、昨年11月15日段階で達成率はわずか0・8%。

 遅くとも田に水を引く4月までには除染を終わらせてほしいというのが高崎さんの思いです。

 除染が終わったとしても、風評被害で作ったコメが売れるのか、今の米価で採算がとれるのか・・。不安はありますが、高崎さんは「ともかく外で体を動かしていないと調子が悪い。早くコメをつくりたい」といいます。

 東京電力は昨年、不耕作の賠償を今年から打ち切る方針を出しました。農家から「除染も終わっていない中での不耕作の賠償打ち切りは許されない」と批判が強まっています。

 原町区に住む日本共産党の荒木千恵子市議(65)は、介護の問題が深刻になっていると感じています。

 南相馬市の震災前の人口は約7万人。今は約4万6千人。

 荒木市議は「市外に出ている人の多くは、小さい子どものいる若い世代の人たち。高齢者が残り、今までしていた外での軽い農作業も原発事故の影響でできなくなり、動けなくなる人が増えている」と指摘します。

 市の介護保険認定の要支援・介護者の数は震災前との比で、昨年10月現在で673人増えています。

     ◇

 小高区は大半が避難指示解除準備区域になっていて、まだ、自宅

で生活することはできません。

 日本共産党の渡部寛一市議(62)の自宅も小高区にあり、家族でコメ作り、農家民宿、みそづくりをしてきました。今は、息子の家族は愛媛県にいます。

 自宅の中での放射線量は記者の線量計で0・23マイクロシーベルトでした。

 自宅の天井には部分的にシミがあります。天井裏に入りこんだハクビシンの尿の跡です。押し入れの上の板がへこんでいます。手で押してみると何かがのっかっている様子。ハクビシンの糞です。

 「住むとなるとだいぶ手入れしないとだめだね」

 国と市は来年の4月に避難指示解除を行う見込みです。

 渡部議員は「若い人はなかなか戻らないでしょう。学校を集約化するのか、農業を再開するにしても若い人がいないなかでどうするのか。今後、中間貯蔵施設への汚染土の持ち込みが始まれば、主要道路の渋滞は必至。運搬道路沿線、周辺への放射線被ばくはないかの対策も必要だ」と話しています。

(随時掲載)

(「しんぶん赤旗」2015年3月2日より転載)

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