原発ゼロ掲げる共産党対決鮮明
自公政権のもとで改定された、原発の60年超運転を容認する法律が6月6日に施行されました。運転期間の延長は財界や原子力産業界が要求していたものです。経済産業省が日本共産党の岩渕友参院議員に提出した資料によると、60年超どころか70年超運転が可能な原発が24基に及ぶことがわかりました。超老朽原発が全国で動く事態になりかねません。参院選挙では、原発回帰の自公政権と日本維新の会、国民民主の補完勢力に、原発ゼロを掲げる日本共産党との対決が鮮明です。(「原発」取材班)
原発の運転期間は、2011年の東京電力福島第1原発事故後、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法で「原則40年、最長60年」と定められました。しかし、「原発の最大限活用」を掲げた自公政権のもとで2023年、運転期間については原発推進の経済産業省所管の電気事業法に移管。規制委による審査や対策工事、裁判所の仮処分命令で停止した後に上級審で命令が取り消された場合などの停止を上乗せして、「最長60年」からさらに延長できるようにしました。
国内で稼働している原発で、1974年11月に運転を開始した最も古い関西電力高浜原発1号機(福井県)はすでに運転期間が50年を超えています。同原発は福島第1原発事故後、審査などで12年4カ月停止していました(表)。申請次第で今後、20年以上の運転が可能となる計算です。
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60年超審査 書面のみ
原発の運転期間を延長する、この新しい制度では、事業者の不適切な行為で停止した期間は、上乗せの対象にしません。テロ対策の不備があった東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)が事実上の運転禁止命令を受けた約2年8カ月や、地質データの書き換えなどがあった日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の審査中断期間がそれにあたります。
60年超の運転延長の審査は経産省職員が書面のみで行い、経産相が認可します。
一方で、運転開始から30年を超えて運転しようとする原発は、電力会社が10年ごとに設備などの劣化を管理するための長期施設管理計画を策定し、規制委の認可を受けることになりました。これまで電力会社が申請したうち、30年以降、40年以降、50年以降の12基の計画がすでに認可されています。
政府は、「原則40年、最長60年」のルールのままでは2040年までに原発4基が廃炉となり、50年までにさらに11基が廃炉になると予想。そのため原発の新設や既設炉の最大限活用が必要だとして、60年超運転の制度を「着実に執行していく」としています。
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(「しんぶん赤旗」2025年7月5日より転載)