関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、原発の新規制基準に「適合」したとする審査書が原子力規制委員会で決定されたことに対し、各地から怒りの
声が上がっています。
事故の教訓学ばず
福井原発訴訟(滋賀)を支える会会長・医師 福田章典さん
審査書には、事故対策の基準となる地震や津波の設定が過小であることなど多くの問題があります。また、福島の事故では入院患者をはじめ多くの方が避難の過程で亡くなられました。避難計画が審査基準に入っていないのは、事故の教訓を全く学んでいないものと考えます。
高浜原発で事故が起これば、隣接する滋賀県でも避難が必要となりますが、バスの確保などのめどは立っていません。1年4ヵ月にわたって原発が全く動かなくても何の支障もないのですから、原発再稼働を急ぐ必要などありません。パブリックコメントの募集からごく短期聞での審査書決定は、初めから早期再稼働を前提とした審査だったと言わざるをえず、強く抗議します。
恣意的な「審査」 元原子力安全委員会事務局技術参与・滝谷紘一さん
意見募集の結果については、科学的、技術的に見て判断根拠が不適切であるとする意見や安全性を厳正に確保するために審査のやり直しを求める意見は何一つ取り入れられていません。
これは川内審査書の場合と変わりません。例として、格納容器破損防止対策について私が出した「川内審査よりも緩めた水素発生量の評価条件を設定して水素爆発は生じないと結論づけていることは、審査の一貫性を欠き、不適切である。川内審査と同じ評価条件のもとで審査をやり直すべきである」という意見に対し、論点を外した回答がされただけで、審査には反映されていません。
これは、川内審査と同じ評価条件で審査すると、新規制基準に不適合になるからに違いなく、再稼働ができるように恣意(しい)的な審査がなされたと言わざるをえません。
″核のゴミ″未解決 全大阪消費者団体連絡会事務局長・飯田秀男さん
国民の過半数は原発再稼働に対して不安や懸念を抱き、反対の意思を示しています。その思いに対してどういう判断をするのかが問われることになります。原発の再稼働は、事故のリスクがある経営を続けると宣言することに等しく、また核のゴミ処理問題も解決していません。処理もできないゴミを増やし続けるものを動かすなんて、一般企業ではありえないことです。それでも再稼働するというのは、安全と利益を天びんにかけ、利益を優先したということです。
核のゴミや避難計画なども解決しないまま、稼働する関電の姿勢は断じて許されません。この態度は将来にわたって問われ続けることになり、関電は真摯(しんし)に対応しなければなりません。
(「しんぶん赤旗」2015年2月13日より転載)