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福島第1建屋周辺の処理地下水 海洋放出を認可 ・・規制委

 原子力規制委員会は1月21日の定例会合で、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の放射能汚染水の増加抑制のためとして、原子炉建屋周辺から地下水をくみ上げ、放射性物質を低減した後、海洋へ放出する計画を認可しました。しかし、風評被害などを心配する地元漁協などは計画に合意していません。

 現在、原子炉建屋地下などに、地下水が流入し汚染水を増大させています。東電は、建屋周辺に設置したサブドレンと呼ばれる井戸から地下水をくみ上げ、建屋周辺の地下水水位を低下させ、建屋地下などに流入する汚染水の増大を抑える計画です。東電によれば、サブドレン内は事故で、放射性物質の汚染が認められています。このため放射性セシウム、ストロンチウムなどを低減させた後、海洋に放出する計画です。これによって、建屋に流入する地下水を現在の1日約300トンから、同約150トンに減らせるという試算をしています。

アルプス処理水も

 一方、規制委は、高濃度汚染水を多核種除去設備(アルプス)で処理した水を海洋放出するなどとした福島第1原発の「中期的リスクの低減目標マップ案」をおおむね了承しました。アルプスは、増大する高濃度汚染水から放射性セシウムを取り除いた処理水から、さらにストロンチウムなどを取り除く装置。しかし、処理後もトリチウム(3重水素)は取り除くことができません。

 海洋放出は案では2017年以降としていますが、委員から時期の前倒しを検討するよう求める声が出されました。また低減目標マップは定期的に見直していくとしています。

命と暮らし軽視するもの・・福島県相馬市のスーパー「中島ストア」社長・中島孝さん(59)

 処理した後の水といっても、海への放出は、被災者の命や暮らしを軽視し、消費者の不安をますます強めて漁業・生業(なりわい)をさらに困難にするものです。言葉にできない憤りを感じます。断固、認められません。今回の規制委の決定は、企業の金もうけや「国益」のためには、国民や被災者の声を踏みにじり、命や暮らしがどうなってもよいという、国や東京電力の姿勢が見えてきます。

東電は「理解を得る」と言いますが、事故前も事故後もウソと偽りでさまざまなことを隠し続けてきました。信用できません。

事故を早く終わったことにして、再稼働を進めようという意図があると思います。

作業員の相次ぐ死亡事故「処理水捨てずタンク増設のなかで起きた」・・規制委・田中委員長

東京電力福島第1、第2原発で作業員が死亡する事故が相次いだ問題で、原子力規制委員会の田中俊一委員長は1月21日開かれた定例会合で、タンクからの転落死もあったことから、「(放射性物質濃度が)排出許容限度以下の水を捨てないで、タンクをどんどん増設していくなかで起こっている」と述べました。

福島第1原発で増え続ける放射能汚染水を多核種除去設備(ALPS、アルプス)で処理した後のトリチウム(3重水素)を含む処理水を海洋に放出しないから、労働災害が起きたと言わんばかりの発言です。

また、「いろんな意見を聞くのは大事だが、(世論に)迎合して人の命をなくすようなことにつながっては、元も子もない。そういうことを(東電は)覚悟を持って取り組んでもらいたい」と述べました。傍聴者から「海洋放出は認められない」と声が上がると、田中氏は「人が死んでもか」と筋違いの暴言をしました。

福島第1原発では19日、タンク天井部から内部に約10メートル転落、翌日に死亡が確認されました。20日には福島第2原発で鋼鉄製の点検装置に頭部を挟まれて死亡。作業手順書の不備や現場の安全管理の不十分さが改めて浮き彫りになっています。

(「しんぶん赤旗」2015年1月22日より転載)

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