原発再稼働の遅れを理由にした、関西電力の電気料金再値上げに、消費者や業者から悲鳴の声が上がっています。(笹川神由)
関西電力は12月24日、家庭向け電気料金の再値上げを経済産業省に申請しました。値上げ幅は平均10・23%。認可が必要ない企業向けも平均13・93%値上げすると発表しました。2015年4月実施予定です。
昨年5月に続き
関電は昨年5月、家庭用で9・75%、企業用で17・26%の値上げをしたばかりです。今回、申請通りになれば、1カ月当たりの電力使用量が300キロワット時の標準家庭で、現行料金の7611円から744円値上がりし、8355円になります。
NPO法人コンシューマーズ京都(京都消団連)の原強理事長は「消費税が上がり、一般家庭は苦しんでいる。電気料金の値上げは、さらに一般家庭に打撃を与える。中小・零細企業は経営が成り立たなくなる恐れもある」と危惧します。
東大阪市にある株式会社山田精工は、産業用機械をつくるための鋼材を加工する会社です。工場は2軒あり、10台以上ある大型機械の電気代が経営を圧迫しているといいます。
山田光俊社長(76)は「証明をLED(発光ダイオード)に変えたり工夫はしているが経営は苦しい。機械が古くなり、いずれは新しいのを買わないといけないが、今の売り上げでは買えない。そのうえ電気料金の値上げ。社員の給料を減らすわけにもいかないし」と頭を悩ませます。
堺市でコンビニ店を経営する30代の女性も「フランチャイズ契約のコンビニは、電気代を自己負担しているところが多い。2回の値上げによって、年間100万円以上が収入から削られることになる。経営は苦しくなり、生活が成り立つのかという不安を感じている」と話します。
原発なくすべき
関電は再値上げの理由について、昨年の値上げ時に前提とした時期と比べ原発(高浜原発3、4号機と大飯原発3、4号機)の再稼働が「大きく遅延」し、火力燃料費などの負担が「著しく増加」していることをあげています。そして、早期に原発が再稼働した場合は、電気料金を値下げしたいなどとしています。
原理事長は憤ります。「原発をアテにして切り抜けようというのはけしからん。再稼働ありきは到底認められない。今回、関電にとって、原発抜きで中期・長期的に経営をするのかどうかが問われている。脱原発の経営にかじを切るべきだ」
山田社長は「地球を汚す原発はない方がいい。子や孫が放射能の被害を受けないためにも、再生可能エネルギーを利用すればいい。原発はなくしていかないといけないよ」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2014年12月30日より転載)