【リマ=島田峰隆】南米ペルーのリマで12月1日から2週間にわたり開かれた国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)は、課題を残しつつも、2020年以降の温室効果ガス削減の新しい国際協定の土台をつくりました。新協定策定へ世界が動くなか、日本の遅れが目立ちます。
会議の主な焦点は▽新協定に向けて各国が提出する国別目標案の中身の決定▽新協定に盛り込む項目の決定▽2020年までの温室効果ガス削減の取り組み強化・・でした。新協定は、先進国だけに削減を義務付けた京都議定書に代わるもので、途上国も含めたすべての国が参加します。来年末にパリで開くCOP21で合意を目指します。
国で対立も
議論では目標案をめぐり、温室効果ガス削減に絞りたい先進国と、温暖化による被害の軽減策や先進国からの資金援助なども盛り込みたい途上国が対立しました。
最終日に採択された合意文書は、▽国別目標案を出す準備のある国は来年3月までに出す▽条約事務局が各国の目標案を公開して統合報告書をつくる・・ことを確認。目標案には基準年や実施期間、目標計画の過程などを盛り込み、被害軽減策をその中に含むことを奨励しました。
一方、国別目標案を相互点検する事前協議の仕組みは合意できませんでした。
各国の対立により表現が弱まるなどしましたが、合意文書は新協定の項目をまとめた交渉テキストのもとになる文書を含み、来年1年間の交渉の土台になります。
環境・開発問題を扱う「世界資源研究所」(WRI)のジエニファー・モーガン気候計画国際局長は、交渉テキストのもとになる文書や国別目標案の中身が合意に入ったことを歓迎。「今後各国が目標案を出す中で、できる限り野心的な内容にするようお互いの圧力が強まるだろう」と前向きに評価しました。
″周回遅れ″
米中、欧州迎合(EU)は、国別目標案を示して会議に臨み、議論に弾みをつけました。一方、日本は目標案の提示時期について「できるだけ早期に」としか述べず、″周回遅れ″を印象付けました。
ドイツのヘンドリクス環境・建設・原子力安全相は本紙に対し「日本には目標案の提出を期待したい。来年3月までがベストだ」と語りました。ケリー米国務長官も「一つか二つの経済大国が対応しないだけで、残りの諸国による前向きの努力がほとんど消えてしまう」と強調しました。
リマ合意を受け各国は目標を正式に提出し、パリ合意へ準備を強める見込みです。世界第5位の温室効果ガス排出国である日本の対応がますます問われます。
(「しんぶん赤旗」2014年12月20日より転載)