地球温暖化による深刻な影響を避けるためには、2050年までに世界の温室効果ガス排出量を10年に比べ40~70%程度減らさなければならないとする、国連の「気候変動に関る政府間パネル(IPCC)第3作業部会の報告書案が3月24日、明らかになりました。実現には、再生可能エネルギーや原子力といった「低炭素エネルギー」の大幅増が不可欠と指摘しました。
第3作業部会は25日から横浜市で始まる第2作業部会に続き、4月7日からドイツ・ベルリンで聞かれます。温室効果ガス削減に向けた道筋や必要な対策などの検証を進めており、同13日に報告書を公表する予定です。
各国が温暖化対策を話し合う国連の気候変動枠組み条約締約国会議は、世界の平均気温の上昇を18世紀半ばの産業革命前に比べ2度未満に抑える目標を掲げています。
一方、大気中の温室ガス濃度は化石燃料の使用増などを背景に上昇し続け、現在約400ppmに達しています。報告書案は、今世紀末の濃度を430~48
0ppmにとどめれば、気温上昇を2度未満に抑制できる可能性が高いと指摘。480~530ppmでも、50%以上の確率で2度以上の気温上昇を避けられると分析しました。その上で、目標達成には温室ガス排出量を40~70%程度削減する必要があると試算しました。
こうした大幅な排出削減を実現するには、低炭素エネルギーがエネルギー全体に占める比率を現在の17%から50年には3~4倍の5~7割程度に増加させなければならないと指摘しました。