【北京=小林拓也】国民党などの野党が過半数を占める台湾の立法院は13日、原子力発電所の稼働期間を従来の40年から60年への延長を可能とする関連法改定案の可決を強行しました。台湾は17日に脱原発が実現する見込みですが、将来的に原発再稼働への余地が残されました。一方、台湾行政院は同日、17日に最後の原子炉1基が運転を停止し、脱原発が実現することは確定しており、法案の影響はないと表明しました。
台湾では2011年の東京電力福島第1原発事故を受け、原発反対の世論と運動が広がり、原発の建設が停止となりました。16年に発足した民進党の蔡英文(さい・えいぶん)政権は17年に、25年までの脱原発を決定。40年の稼働期限を迎えた原発が順次運用を停止してきました。17日には南部・屏東県の第3原発2号機が運用を停止し、台湾は原発ゼロを実現することになります。
一方、昨年の総統選と同時に行われた立法委員選挙で、与党・民進党は過半数を得ることができず、頼清徳政権は政権運営に困難が生じ、政治対立が深まっていました。最大野党の国民党は原発に固執しており、事業者の申請により原発の運用を延長する法案を強行しました。
台湾の環境保護団体「緑色公民行動連盟」は13日の声明で、「原発のリスク、地域住民の生命や安全を無視し、民主主義のプロセスを破壊するやり方だ」として、国民党ら野党に「厳正な非難と抗議」を表明しました。
(「しんぶん赤旗」2025年5月15日より転載)