電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は11月14日の記者会見で、使用済み核燃料を再処理して製造したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を原発に使用するプルサーマル計画の実施を延期する意向を明らかにしました。電力業界は2015年度までに16〜18基の原発で使用を予定していましたが、プルサーマル計画の危険性に加え、東京電力福島第1原発事故の影響で、計画の前提となる原発の再稼働ができない状態が続いています。
電力業界は当初、プルサーマルの開始時期を「10年度まで」としていたが、09年に「15年度まで」に延期しました。
セシウム濃度 過去最高値に・・福島第1井戸
東京電力は11月13日、福島第1原発1、2号機東側にあるくみ上げ用の井戸で、同日採取した地下水に含まれるセシウムなどの濃度が過去最高値になったと発表しました。東電は「工事でくみ上げ量を減らしたことが関係している可能性がある」と説明しています。
東電によると、10日に採取した地下水と比べ、セシウム137が333倍の1リットル当たり約3000ベクレル、ガンマ線を出すマンガン54が2倍の同110ベクレル、検出限界値未満だったセシウム134が同920ベクレル検出されました。
この井戸は、改良工事の過程で6日からくみ上げ量を10分の1程度に減らしていたといいます。
原燃再処理工場 床清掃中にぼや・・青森・六ケ所村
11月15日午前10時半ごろ、青森県六ケ所村の日本原燃の使用済み核燃料再処理工場で、「清掃作業中にコンセントから煙が出た」と119番がありました。コンセントが焦げましたが約50分後に鎮火。工場は稼働しておらず、煙が出た施設に放射性物質は保管されていませんでした。
原燃によると、ぼやがあったのは工場敷地内にある使用済み燃料受け入れ・貯蔵管理建屋の地下1階の廊下。作業員が床を清掃中に、コンセントから煙が出たといいます。けが人はいませんでした。
再処理工場は原発からウランやプルトニウムを取り出し、再利用を目指す核燃料サイクルの中核施設です。原子力規制委員会に適合性審査(安全審査)を申請していますが、トラブルが相次ぎ、完成時期の延長を繰り返しています。
(「しんぶん赤旗」2014年11月16日より転載)