東京電力福島第1原発2号機のトレンチ(ケーブルなどが通る地下トンネル)で高濃度の放射能汚染水の抜き取りが難航している問題で、東電は11月13日、水の行き来をせき止めるためタービン建屋とトレンチの接続箇所にセメント材を投入した後も、双方の水位が連動していることを明らかにしました。止水が完全にできていない可能性が高く、抜き取りはさらに難航するとみられます。
福島第1原発ではタービン建屋から高濃度の汚染水がトレンチに流れ込んで、2号機と3号機のトレンチに約1万1000トンの汚染水がたまっています。
原子力規制委員会からは、トレンチの汚染水が地中に漏れている可能性があるとして、早期に汚染水を抜き取るよう求められています。
このため東電は、4月以降、水の行き来がある接続箇所を凍らせることを目指していましたが、完全に凍らせることができず、10月から、凍らないすき間にセメント材を今月6日まで投入していました。
ところが、トレンチ側とタービン側で、ほぼ同じ水位が続いていることが判明。タービン側の汚染水くみ上げを中止したところ、地下水の流入などで水位は11日午前7時の287・9センチから13日午前7時には300・4センチに上昇し、トレンチ側も290センチから300・7センチに水位が上がりました。
依然として水が行き来している可能性が高まりましたが、東電廃炉推進カンパニーの川村信一広報担当は「(止水できていない)可能性もあると思う」としながら、「これだけで評価はできない」と述べました。
東電は、今月中旬までにセメント材の効果を判断し、完全に止水できなくても、汚染水を抜きながらトレンチを埋める工法を採用する予定です。
ただ、止水できなければトレンチを埋めるまでタービン側から汚染水の流入が続くことになります。
(「しんぶん赤旗」2014年11月15日より転載)