鹿児島県の伊藤祐一郎知事は11月5日、川内(せんだい)原発(薩摩川内市)の再稼働について賛否を問う臨時県議会を強引に招集しました。日本共産党の、まつざき真琴県議は伊藤知事に対し、臨時議会の招集に抗議するとともに、再稼働へと急ぐ知事の姿勢を厳しく批判しました。
議会冒頭、臨時議会開会を全会派に相談もなく「密室協議」で決めた責任は重大だとして、議長らの不信任決議案が提出され、まつざき県議も賛成討論しましたが、否決されました。
伊藤知事が、臨時議会に対する報告で「原子力規制委員会により安全性が確認されたものと考えている」とのべると、傍聴者からは「強引だ」「県民の安全を守れ」と怒りの声があがりました。
質疑では全会派が知事の見解をただしました。伊藤知事は、「安全性は確認された」「住民説明会での理解はおおむね得られた」と繰り返しました。
まつざき県議は、規制庁が「審査は終わっていない」と明言していることや、9月に避難計画が大きく変更されたのに住民は説明を受けていないことを指摘。「住民は納得していない。知事はなぜ結論を急ぐのか」とただしました。日本火山学会の提言をうけ、「火山噴火の対応について、適合審査のやり直しを要請すべきだ」と迫りました。
県庁前で市民早朝から抗議
県庁前では、市民らが早朝から集会を開き、臨時議会開会に抗議。「伊藤知事は県民の声を聞け」と訴えました。
県庁前での抗議の座り込みに連日参加している女性(50)は、「世論調査では県民の6割は再稼働に反対だ。知事はなぜ早急に決めるのか」と語気を強めました。
臨時議会は、11月6日に原発特別委員会で、7日に本会議で再稼働についての判断をするとしています。
“狙いは原発輸出強化”・・衆院文科委 宮本氏、CSC批判
原発事故発生時に加盟国が資金を出し合って損害賠償を可能にすることなどを定めた「原子力損害の補完的な補償に関する条約」(CSC)への加入をめぐって、宮本岳志衆院議員は11月5日の文部科学委員会で「CSCの狙いは米国との関係で、ともに原発輸出をすすめる国際的な枠組み作りを進めるものだ」と指摘しました。文科省の田中敏研究開発局長は「結果としてそういう環境(=輸出)が整えられる」とのべました。
日本共産党の宮本議員は「原発輸出は相手国、周辺国に回復不可能な人命と人権の侵害、環境破壊の危険をもたらすもので、断じて行うべきではない」と強調しました。
そのうえで、政府がいまなすべきことは、原発の稼働停止・廃炉、そして福島の人たちへの完全賠償だとのべました。この点に関して宮本氏は、福島県浪江町の集団申し立てで福島原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)の和解案を拒否する東京電力の姿勢を厳しく批判。「東電に対して和解案を受け入れるよう政府として強く指導すべきだ」と迫り、完全賠償に全力を傾けるよう求めました。
下村博文文科相は「東電自ら表明する『和解案の尊重』の趣旨にかんがみ、適切な対応をするよう国として強く指導したい」とのべました。
(「しんぶん赤旗」2014年11月6日より転載)