※全電源喪失した3月11日夕方以降、福島第1原発で連絡手段として頻繁に使われていたPHS(簡易型携帯電話)が次つぎと使用不能になりました。
─命令を出して中央制御室(中央操作室)から情報が来るのに、どれくらい時間がかかるのか。
「1時間以上かかる」
「ここ(重要免震棟の緊急時対策本部)を段取りして行って、帰ってくると1時間くらいかかってしまうから、(中略)行ったんだけれども、線量が高くて、できませんでしたというのが、指示してから1時間ぐらいに返ってくる」
─敷地内は広い。連絡手段で他に何を使っていたのか。
「トランシーバーです。(中略)トランシーバーもパワーが弱いんです。だから、建物の陰などに行くとつながらない。(中略)なおかつ全面マスクですから、声が通らないわけです。(中略)ものすごい、いらいらしました」
─現場対応の人と本部の間で連絡がとれなかったと。
「ほとんどとれなかった。(中略)注水関係も物揚げ揚(港湾設備の一部)のところは通信が弱いんです。坂の下ですから、全然届かないんです。(中略)連中は隠れていて、被ばくしないような場所に行ったりするんですけれども、そこに情報が出せない」
─通信連絡設備にいろいろ問題があった。
「あれだけの状況を把握するのに、ものすごい時間がかかったわけですから、これは絶対何とかしないといけない。こんな事故を想定しても使えるような通信器具は何かあるか。(中略)絶対考えておく必要がある」
─PHSは交流電源がなくなると、1時間しかもだないと聞くが、もう少しもつようにするとか、検討しなかったのか。
「そこまで想定してPHSを使うということを誰も思っていないんです」
─訓練でもPHSが使えない状況を想定していないのはなぜか。
「電源がどこか生きていると思っているんですよ、みんな。(中略)こんなに電源なくなるとは誰も思っていない」
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2014年10月5日より転載)