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吉田調書が語るもの(15)・・事故対応、スイッチ押せば

消防車を使った注水=2011年3月16日撮影、東京電力提供
消防車を使った注水=2011年3月16日撮影、東京電力提供

 ※原子炉の冷却に海水を使うことにしたものの、直接くみ上げることができませんでした。

 ─どこから取水するのか、考えていなかったのはなぜか。

 「考えていないですよ。(中略)電源がなくなったとしても、時間的に何とかなると思っているんです。電源さえ復旧できれば何とか注水できるだろうと思っていて、はっきり言って、本当に腹の底から、そんな事象になると思って、つくっていたんですかということだと思います」

 ─本当に海水を最後に入れると考えていなかったと。

 「ないですよ。もしも考えていれば、それこそ海の水を吸い上げるようなラインを別に設計しておくべきです。(中略)事前のアクシデントマネジメント(AM)をデザインとして決めた人は誰も考えていないですよ」

 「私だって、大もとを決めていないけれども、それに従って発電所の運営して、所長もやっているわけですから、そこに思い至らなかった自分は非常に恥ずかしいと思います」

 ─AM策の中で明文化されていないことを、現場で独自に検討したことはあるか。

 「所長になって1年もたたないで、これが来てしまったので、地震の直前にやった防災訓練ぐらいしか、シビアアクシデント(過酷事故)に関するような話題はなかったというのが1点。それから(中略)ごく普通のトラブルが山ほどありまして、そういう対応をしておりますから、シビアアクシデントに限定して、そこを何か補強しようというような検討を追加でしたという記憶はございません」

 ─みんなに聞くと、トラブル対応は、中央制御室のスイッチで行うというイメージだ。もう一歩踏み出すところまでいかなかった。

 「3月11日の前は、そういう発想には、いっていないんでしょうね。中操(中央制御室のこと)でスイッチを押せば、そのとおりに動いてくれるという前提でのマネジメント。これは別に東京電力福島第1だけではなくて、オールジャパン、どこでもそうだと思います」

 ※全電源を失うとは思ってもいなかったことが、この証言にも表れています。

(つづく)

(「しんぶん赤旗」2014年10月4日より転載)

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