避難計画ないのに…■知事は思い直せ
安倍政権が全国の再稼働の突破口にと狙う九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の地元では、立地する薩摩川内市ばかりでなく、周辺の自治体でも住民の意識が激変しています。
(原田浩一朗)
9月28日、鹿児島市内で開かれた「ストップ川内原発再稼働! 全国集会」には、福島原発事故後では県内最大規模の約7500人が県内外から参加しました。
御嶽山(おんたけさん)が噴火した翌日で、しかも鹿児島市は桜島の降灰に日常的に悩まされている場所柄です。集会参加者からは、「噴火予知は難しいと火山学者がいってる。川内原発の再稼働などとんでもない」との声が相次きました。
■過半数が署名
薩摩川内市に隣接し、30キロ圏内に入る、いちき串木野市の議会は9月30日、「川内原発1・2号機の再稼働に当たっては、いちき串木野市を地元に含め、地元自治体の意見を十分に尊重し、同意を得られるよう強く求める」との意見書を圧倒的多数で可決しました。
この意見書は、市民団体「避難計画を考える緊急署名の会」が提出した陳情に基づくもの。同会がよびかけた「市民の生命を守る避難計画がない中での、川内原発再稼働に反対する緊急署名」には、約3万人の市民の過半数が署名しています。
同会の石神斉也(いしがみ・まさなり)代表(81)は、「知事は、地元の声を聞き、思い直してほしい」といいます。
■意見書次々に
やはり30キロ圏内にかかる日置(ひおき)市の議会も、「当自治体の議会、首長の同意なしに、鹿児島県は川内原発の再稼働に同意しないこと」を求める意見書を全会一致で可決しています(9月30日)。
こうした声にこたえるべき伊藤祐一郎知事は、かたくなな態度を崩していません。
日本共産党の、まつざき真琴県議が県議会本会議で地元同意の対象自治体を広げるよう迫ったのにたいし、「県と薩摩川内市で十分」(9月18日)と言い放ちました。
しかし、この間、周辺自治体では、再稼働に批判的な意見書が相次いであがっています(別項)。
川内原発再稼働を強行しようとする勢力は、周辺の住民に大きく包囲されつつあるのです。
川内原発の周辺自治体であがった意見書
姶良(あいら)市=「川内原発の廃炉」を求める意見書/屋久島町=「再稼働の反対を求める」意見書/出水(いずみ)市、垂水(たるみず)市 =「再稼働に慎重な対応を求める」意見書/阿久根市=「住民説明会を求める」意見書
(「しんぶん赤旗」2014年10月2日より転載)