※2008年10月、専門家から貞観(じょうがん)津波(869年)に関する論文原稿を渡された東京電力は論文をもとに津波を試算。従来の想定を大きく超える最大9・2メートルの結果を得ました。
─原子力設備管理部長だった時、貞観津波などの対応で、土木学会に依頼しているが。
「津波の評価というのは、結局、土木学会が津波評価の考え方、ガイドみたいなものをつくるので、それにのっとってバックチェック(改訂指針に照らして調査し直すこと)などをやっているということだったんです。貞観津波の話もそのころ出ていまして」
─″原子力は費用対効果もある″というが、今回のような15メートルの津波に耐えられるためにはどうするのか。
「20メートルといったときには、基本的に廃炉にしないとだめです。あの立地だと、抜本的にだめです。(中略)(10メートルなら)何とか防潮堤をつくって波を逃がすということはできると思うんですけれども、今回のものは本当にできるかどうかわかりません」
─福島第1原発で貞観津波を考えていないのはおかしいと。
「それは全然、論理がおかしくて(中略)(今回は)貞観津波を起こした地震のマグニチュードよりももっと大きなものが来たわけですから。(中略)日本の地震学者、津波学者のだれがあそこにマグニチュード9が来るということを事前に言っていたんですか」
「貞観津波の波源で考えたときにも、うちの敷地は3メートルか4メートルぐらいしか来ないから、これは今の基準で十分もつという判断を1回しているわけです」
「マグニチュード9が来ると言った人は、今回の地震が来るまではだれもいないわけですから、それを何で考慮しなかったんだというのは無礼千万だと思っています。そんなことを言うんだったら、日本全国の原子力発電所の地形などは関係なく、(中略)全部15メートルの津波が来るということで設計し直せということと同じ」
※従来の想定を大きく上回る津波を試算しながら対策しなかったことを、″誰も想定しなかった″と合理化しています。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2014年9月30日より転載)