東京電力が福島県浪江町による原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続き(ADR)集団申し立てに基づく和解案を拒否している件で、浪江町は9月18日、東電が和解案を17日に再度拒否したことを明らかにしました。馬場有町長が「およそ加害者の態度とは思えない」との抗議のコメントをだし、「上申書」を同センターに提出、東電を説得するよう求めました。
原発事故・放射能汚染で全町避難を余儀なくされている浪江町民約1万5000人の委任状をもとに、町が代理人となる全国でも初めての事例です。
東電の再回答は、同センターが示した「和解案提示理由補充書」について、「慎重に検討したが、回答を変更して受諾することは困難である」というものです。その理由も「中間指針と異なる集団的和解をするとなると、それ以外の避難者との公平性を著しく欠くので受諾は困難である」などとしています。
馬場町長のコメントは、東電の和解拒否理由は、いずれも「理由補充害」で明確に否定されたものだと指摘。
「申立人(避難町民)の苦しみや悲しみ、不安を深く理解し、大変申し訳なく思っているなどとのべているが、このような不誠実な態度は申立人にさらなる苦痛を与えるもの」だと批判しています。
浪江町の「上申書」は、同センターの度重なる指摘を無視する東電の対応は、「センターをはじめとして、日本政府が3年以上かけて行ってきた原子力事故損害賠償制度を真っ向から否定するもの」だと批判。同センターとして、東電が和解案をすべて受諾するように強く説得することを求めています。
(「しんぶん赤旗」2014年9月19日より転載)