東京電力は9月18日、福島第1原発の汚染水対策として原子炉建屋周辺の汚染地下水を浄化後に海に放出する計画について、福島県いわき市で漁業者向けの説明会を開きました。出席した漁業者からは風評被害など試験操業への悪影響を懸念する声が上がり、「東電の説明は信用できない」と紛糾する場面もありました。
説明会は、第1原発の南側海域で試験操業をしているいわき市漁協の組合員が対象。約90人が出席しましたが、会場に入りきらな
い人がいたため再度開催します。
東電の担当者は漁業者を前に、使用する浄化設備について説明。放射性セシウムの濃度が検出できない水準まで低下し、地下水放出の運用基準も満たしているなどと安全性を強調しました。
これに対し漁業者側は、試験操業の対象魚種拡大が進んでいることに触れ、「今は大切な時期だ。何かあったら命取りになる」などと猛反発。将来はタンクに保管している汚染水の海洋放出につながると懸念する声も上がりました。
バイパス効果・・東電評価示す
東京電力は9月18日、福島第1原発1〜4号機原子炉建屋地下に地下水が流入するのを抑制するための地下水バイパスによって、1日当たり約50〜80トンの抑制効果が得られているとの評価を初めて示しました。
地下水バイパスは、建屋上流側に掘った12本の井戸から地下水をくみ上げてタンクにため、基準値を下回れば海へ放出するというもの。今年5月から本格稼働し、1日当たり300〜350トンの地下水をくみ上げています。東電は、1日当たり最大約100トンの流入抑制効果が得られるとしてきました。
東電は、地下水バイパスが稼働する前の2012年1月から今年1月の1日当たりの地下水流量と比べ、今年6月以降は100〜130トン減少していると試算。今年2〜4月に高温焼却炉建屋に流入する地下水を止水する工事を行ったことによる抑制効果を同50トンと仮定し、差し引き50〜80トンが地下水バイパスの抑制効果だと評価しました。
(「しんぶん赤旗」2014年9月19日より転載)