東京電力は9月17日、福島第1原発で汚染水の放射性物質を吸着して大幅に減らす装置「ALPS」(アルプス)について、増設した3系統のうち1系統で試運転を開始したと発表しました。東電は10月上旬までに残り2系統の試運転を始めたい考えです。
東電によると、増設したALPSは、放射性ヨウ素など既存の装置で十分に取り切れなかった物質の除去機能を向上させました。試運転では実際に汚染水を通し、浄化機能をチェックします。1日当たりの通水量は1系統約250トンの予定。
同原発には現在、約36万トンの高濃度汚染水がタンクに保管されており、国や東電はALPSを汚染水対策の「切り札」として位置付けています。しかし、従来のALPSは、昨年3月の試運転開始以来、トラブルが相次ぎ、何度も停止しています。
規制委 凍土遮水壁の山側工事認可
東京電力福島第1原発で増大する汚染水の抑制のため東電が計画している凍土遮水壁に関して、原子力規制委員会は9月17日、建屋山側の地下のケーブル配管など埋設物が凍土壁を貫通する箇所で凍結管を設置する工事を認可しました。
東電は、汚染水が増大する原因である地下水の原子炉建屋への流入を減少させる目的で、1〜4号機の原子炉建屋を囲む形で約1・5キロに及ぶ凍土遮水壁をつくる計画です。このため現在、地下に埋設物がない場所で凍結管の設置工事をおこなっています。しかし、建屋周辺の地下には配管など多くの構造物があり、内部にたまり水などが確認されています。このため、埋設物の貫通箇所での凍結管設置工事の安全性が問題でした。
今回の認可で、東電は、認可の前提となった想定の範囲であれば山側での凍結管設置工事を全面的に実施できます。ただし、高濃度汚染水が滞留している海側トレンチ(トンネル)が凍土壁を貫通する箇所での凍結工事や凍土壁完成後の水位管理の計画などは、まだ申請されていません。
(「しんぶん赤旗」201年9月18日より転載)