電源を使わず炉心を冷やす1号機の非常用復水器(IC)は機能不全に陥っていました。
──ICがうまく動いていないかもしれないという情報は把握していたか。
「把握していませんでした。ここは、私の反省点になるんですけれども、(水位がある程度確保されていると)思い込みがあったんですけれども、発電班長からここの情報は円卓(重要免震棟2階の緊急時対策室の本部席)に出てこなかったんですね」「こちらから聞かなかったということに関して、私は、今、猛烈に反省しているんですけれども」
「(炉内の水位は)見えているんですけれども、やはりおかしいぞというのは、格納容器の圧力が上がっていたり、水位の値は全然変わらなくて、何で格納容器のドライウェル(格納容器内の圧力抑制部を除いた部分)圧力がこんなに上がっているんだとか」
9月11日21時51分、1号機の原子炉建屋の放射線量が上昇し、入域禁止になります。
「現場に行った人間がはかってきたら、二重扉の南側か、西側か、北側か忘れましたけれども、どっちかが非常に高いというデータを聞いて、おかしいと」「中はひどい状態になっている可能性が高いと、そこから思い始めたわけです」
──そのころICはまだ動いていたと。
「そこら辺が疑心暗鬼になり始めている」
──その時点で、原子炉格納容器から何か漏れているとの発想はあるのか。
「あります。ですから、何だろうと、まず、なにせ監視計器が全然生きていないですから、何の想像もできないんです」「今にして思うと、この水位計をある程度信用していたのが間違いで」
ICの作動状態に対する誤認は、1号機の危機的状態の認識を遅らせました。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2014年9月日より転載)