国内全ての原発が止まって9月15日で丸1年を迎えます。暑い夏も全国的に大雪に見まわれた寒い冬も乗り越えました。全国各地で原発ゼロを目指して行動している青年たちの思いを聞きました。
(岩井亜紀・仁田桃)
存続自体が安全じゃない・・薩摩川内市で川内原発に反対する僧侶 村上孝昭さん(31)
原発の危険性は、事故時の被害の大きさだけではありません。原発の燃料になるウランの鉱山などで働く労働者は、被ばくを余儀なくされます。川内原発の定期検査でも、被ばく労働は避けられません。原発はその存続じたいが安全ではないのです。
私は僧侶です。「生命の尊厳に立ち、犠牲を出してはならない」という仏教の視点を大事にします。ですから、被ばく労働を担う人の命の上に立つ原発依存の社会に反対します。
憲法の観点からも、誰もがかけがえのない命を尊重されるべきです。
僧侶として、人権を尊重する活動の中で、原発ゼロをめざす運動を推進していきたいです。
署名できない町民も協力・・日本共産党福井県美浜町議 河本猛さん(36)
関西電力美浜原発の3基ある原子炉はどれも運転開始から40年近くたっています。常識的に見れば、再稼働の見込みはありません。
それにもかかわらず、議員14人の町議会で反対派は私だけ。自治体は国に再稼働を求める声を強めていますが、原発に依存していては街の将来は見通せません。
「共産党が議会に来て、雰囲気が変わった」とある町民から言われました。町民の多くは表立って反対運動はしませんが、このままではいけないと肌では感じています。
大飯原発訴訟で反対派が勝ちました。訴訟を勝ち抜くために署名活動などをしています。本心は反対でも親戚に関係者がいるからと署名はできない人が、用紙を配ってくれます。「共産党だから真正面から反対できる」との期待にこたえ、廃炉めざし行動を続けたい。
このままお休みさせてあげて・・もんじゆ君
なんとなく時間がたつにつれて、ふくいち君のこと、まるでもう平気みたいになっちゃってると思うの。だけど、違うんだ。いまも汚染水のおもらしが止まらなくって、去年のいまごろ「凍土壁をつくるぞー」「ええっ?そんなのうまくいくの?」って話をしてたのに、そのまま進めて結局うまくいかなかったのが、この夏。地下水を凍らせることなんてできなくて、水やドライアイスをどんどん入れたら逆に詰まっちゃった……。悲しいね。すでに起こってる事故の対応はずっと後手後手。
ゼロでも1年間乗り切れちゃったってことは、きっと原発いらないんだよね。もう福島のような出来事は起こしてほしくない。だからもう、このまま原発フレンズのみんなをお休みさせておいてあげて。
■もんじゅくん 福井県にある高速増殖炉もんじゅの非公式ゆるキャラ。 2011年5月からツイッターを開始。フォロワーは約10万人。
知恵と技術、事故収束に・・愛媛「伊方原発 とめまっしょい☆若者連合」 アユム☆グリーンレモンさん
原発事故を受け、いろいろな人が新しいエネルギーを模索しているなかで、政府は再稼働よりもそちらに力を入れてほしいです。
1年という長い間、原発を動かさなくても大丈夫だと示されたのに再稼働させようとするなんて
ありえません。
先日、学生たちと福島県の広野町や富岡町に行きました。そこで「原発さえなければ」と話す避難している人たちの姿を見て、知恵と技術を事故の収束に注ぐべきだと思いました。安倍政権は避難者の痛みを受け止めているのかなと疑問を持ち
ます。
愛媛県の伊方原発は2年半動いていません。この事実を知らない県内の人もたくさんいます。たくさんの人に伝えて、原発をなくす未来をつくりたい。
生活取り戻すごとに全力を・・日本民主青年同盟福島県委員長 大橋沙織さん(23)
夏も冬も電気は足りて生活できるということを、この夏を越えてさらに実感しました。
安倍首相は「世界最高の新規制基準」「世界一安全」とアピールしていますが、福島の原発事故が収束していないのに、どうしてそう言えるのか不思議です。
賠償問題で、避難解除したら打ち切るんじゃなくて、避難していた人たちが今までどういう生活を送っていたのか考えて、生活が取り戻せるように政府は力をつくすべきです。
県外からボランティアに来た学生とも交流をしています。仮設住宅をまわって福島の現状を見て、一緒に怒ってくれる人がいて心強く感じました。
福島県の人だからこそ、声をあげてがんばっていかなくちゃと思います。
反対運動のエネルギーに・・金曜官邸前行動
「かくめい喫茶ゲリラカフエ」小椋優子さん(42)=左=いとうやすよさん(29)
首相官邸前抗議行動に合わせて毎週金曜日、国会正門前(東京・永田町)につながる歩道で「かくめい喫茶 ゲリラカフエ」を出す小椋優子さんと、いとうやすよさん。タルトやフレッシュフルーツジュースなどで参加者を癒やします。
「提供する食べ物を反原発運動のエネルギー源にしたい」と話すのは小椋さん。「原発推進をねらう政治家たちは、高級なものを食べながら、こっそりことを進めようとしている。私たちは対抗する手段を持たなければ」
いとうさんは「日々の生活の中でも、原発に頼らない世の中をつくる暮らし方についてなど周りの人たちと話し合っていきたい」。
(「しんぶん赤旗」2014年9月8日より転載)