東京電力福島第1原発事故の収束・廃炉作業にあたっている下請け作業員4人が、「危険手当不払いは共同不法行為にあたる」として東電や元請けなどを相手に6200万円の損害賠償を求める訴訟を9月3日、福島地裁いわき支部に起こしました。
原子炉建屋のカバーリング建設のためのがれき処理など高い放射線量のもとでの危険な収束・廃炉作業についている現役の作業員による提訴は初めてです。
訴状によれば、「危険手当は放射線被ばくをともなう福島第1原発の事故対応・廃炉作業といった危険な被ばく作業に従事する労働者のために支払われる性質のもの」と指摘。この趣旨から「危険手当は危険な被ばく作業に従事する労働者に直接支払いがなされなければならない」とし、「下請け企業らがピンはねすることは許されない」としています。
そのうえで東電について、多重下請け構造のもとで危険手当が搾取されていることを認識しながら、これを漫然と放置してきたことは「(元請けや下請け企業の)被告らとともに共同不法行為に基づく損害賠償義務を負う」とその責任を指摘しています。
原告の一人(34)は「自分らの訴えで、これだけ危険な作業にもかかわらず危険手当がほとんど支払われていないという実態を知らせ、改善されれば収束・廃炉作業はもっと事故を減らして前に進めることができる、そんなきっかけにしたい」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2014年9月4日より転載)