東京電力は4月9日、福島第1原発の汚染水対策の一つ、「地下水バイパス計画」で、専用の井戸から地下水をくみ上げたと発表しました。
東電によると、同日午前10時半ごろから、12カ所の井戸から地下水のくみ上げを開始。地下水は山側にある九つのタンク(1基の容量1000トン)に移送。1カ月ほど水質の分析などを実施した後、東電が定めた基準値(セシウム137が1リットル当たり1ベクレル未満など)以下なら海へ放出します。早ければ5月の連休明けにも放出する予定といいます。
地下水バイパスは、地下水が原子炉建屋地下などに流入し放射性物質を含む汚染水が増加しているのを抑制する対策の1つとして、東電と政府が計画しているもの。1日400トンのペースで増える汚染水を、地下水が建屋に流入する前に、山側の井戸で地下水をくみ上げることによって、同120~20トンを減らせるとみています。
地下水バイパスをめぐっては、福島県漁連が、放出する地下水の放射性物質濃度の厳守や、第三者の監視などを要求。東電は、基準値を上回れば稼働を停止し、対策をした上で再開するなどと回答しています。
水位計にミス・・警報音鳴らず
東京電力は4月9日、福島第1原発の汚染水タンクの水位を監視するシステムで、パソコンの音量設定ミスにより水位低下の警報音が鳴らない状態だったと発表しました。
東電によると、8日にタンク2基の水位が検出器の故障でゼロを示しましたが、警報音が鳴りませんでした。実際は、水位は下がっておらず、水漏れも確認されていません。監視用のパソコンに警報画面が表示されていましたが、常駐する監視員は2時間以上、異常に気付かなかったといいます。