原発利益共同体の一つ、「日本エネルギー経済研究所」の役員として名前を連ねる電力会社の幹部の数が、東京電力福島第1原発事故後、3人から6人に増えていることが本紙の調べでわかりました。
同研究所は、原発を推進してきた経済産業省所管の一般財団法人で、理事長の豊田正和氏は、同省ナンバー2の経産省審議官経験者。4人いる常務理事のうち、2人も経産省出身です。
福島第1原発事故後、「全原発を停止したら、電気代は月1000円値上がりする」(2011年7月)といった試算を発表。今年(2014年)7月24日にも、九州電力川内(せんだい)原発はじめ、電力各社が原子力規制委員会に安全審査を申請中の原発19基がすべて再稼働したら、実質国内総生産(GDP)を年間で8000億円押し上げる″効果″があるとし、「(再稼働の)メリットは大」などとする試算を発表しています。
豊田理事長自身、原発を「重要なベース電源」と位置づけ、「原発ゼロ」目標を投げ捨てた経産省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会のメンバーです。同研究所は原発推進の中心団体です。
同研究所のホームページによると、福島第1原発事故後の11年4月1日現在の役員名簿には、理事に東京電力、中部電力、関西電力の役員が各1人いました。
ことし7月1日現在の役員名簿によると、理事に新たに東北電力、九州電力の役員が加わったほか、同研究所ナンバー2の専務理事には、東京電力のロンドン事務所長などを務めた大谷豪氏が就任しています。(表参照)原発再稼働に向け″提言″を繰り返す研究所の理事に、再稼働を求めている原発を抱える電力会社幹部がズラリ。原発利益共同体の癒着の奥深さを示しています。
(「しんぶん赤旗」2014年8月21日より転載)