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トリチウム薄め海放出か 東電、排水基準に言及・・建屋周辺の汚染水対策

 東京電力は8月7日、福島第1原発の放射能汚染水増加抑制策として、1〜4号機建屋周辺の井戸からくみ上げた地下水を海へ放出する計画で、排水基準については「地下水バイパスが念頭にある」と述べました。浄化設備を使っても取り除けないトリチウム(3重水素)について、濃度を薄めて海へ出すという運用がされるのではないかと懸念されます。

 浄化設備で処理しようとしているのは、建屋周辺にある「サブドレン」と呼ばれる井戸と、海側遮水壁の設置に伴う地下水の影響を抑えるために新設する「地下水ドレン」。

 サブドレンの一部の井戸ではトリチウムが1リットル当たり9万6000ベクレル検出されるなどしており、海への放出の法令上の濃度上限値である同6万ベクレルを上回っています。3月末に開かれた原子力規制委員会の専門家検討会でも、高い濃度の放射性物質が検出されているサブドレンの扱いが問題にされていました。

 東電は、建屋から100メートル以上離れた山側で地下水をくみ上げる「地下水バイパス」では、海へ放出する際の基準として定めた1リットル当たり1500ベクレル未満を上回る濃度の地下水がありますが、濃度の低い他の地下水と混ぜ

て薄めた上で、基準を下回ったとして排出しています。

 東電廃炉推進カンパニーの川村信一広報担当は建屋周辺の地下水の排水先に関しては「私たちが考えているのは海ではなく、港湾内」と強調しましたが、外洋に流出する可能性には触れませんでした。

 さらに、川村氏は建屋周辺の地下水を海へ放出することが認められなかった場合、くみ上げはしないと説明。くみ上げなければ汚染された地下水が海へ流出する恐れがありますが、代替策については言及しませんでした。

(「しんぶん赤旗」2014年8月9日より転載)

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